しかしいざスタートしたら、「数字」では及ばない領域がたくさんあることに気づきます。なりふりかまわず、自分の欲に素直になり、全力で突っ走りました。もし理性的であったなら、いい大人が「全力で突っ走る」なんてことはできません。

“うまくいった経験”を振り返り
感情と理性のバランスを調整する

 しかし私は、いい大人が「全力で突っ走る」から起業というものが成立するのだと思います。私が成功したかどうかはわかりません。しかし、少なくとも成立はしたと思っています。

 翻って、あなたはどうでしょうか。これまでの人生において「うまくいった」ことを思い出してください。大人になってからでなく、子どもの頃の経験でもいいでしょう。きっと「感情的に妄想し、理性的に計画し、感情的に行動する」に当てはまるものもあるのではないでしょうか。

 たとえば、意中の相手とのデートがうまくいった経験。ワクワクしながら妄想し、しかしデートの前日はしっかり予習し、当日はドキドキする気持ちとともに、予習の通りにいかないデートを楽しんだのではありませんか。

 あるいは仕事においてプレゼンテーションがうまくいった経験。まずはどうしても企画を通したいという気持ちが構想のベースであったはずです。しかし実際の内容はロジカルで説得力のあるものでなければなりませんから、あなたは緻密な準備をしたはずです。しかしいざ本番であなたがその企画に込めた想いを、たとえ滑らかではなくとも熱く語ったことが、良い結果に至った最大の理由だったかもしれません。

 数学は理性です。だから私は理性をとても大切にしています。でも人間社会においては、理性だけではうまくいきません。理性を感情でサンドイッチするのが最高のバランスです。その逆は最悪です。感情を理性でサンドイッチすることは、感情を殺すということと同義ですから。

 感情→理性→感情:最高

 理性→感情→理性:最悪

 そういう意味で、「うまくいく」ことのメカニズムはシンプルで共通しているのではないでしょうか。私が父に言われた言葉はおそらく真実でしょう。あえて補足をするとこうなります。

 計画なくして成功はない。しかし計画だけでも成功はない。計画の両脇に感情を置くことで成功確率は上がる。少なくとも、成立させることはできる。