エグさは薄め
原作とドラマの違い

 原作と実写版の違いを上げると、エピソードやセリフは原作に忠実な場面が多いが、構成は異なる部分もある。もっとも大きな違いは、九条間人(柳楽優弥)の事務所のイソ弁(法律事務所に雇用され、実務経験を積む勤務弁護士)である烏丸真司(松村北斗)の過去が早い段階で明らかにされることだろう。

 東大首席卒業で四大法律事務所に所属していたこともある烏丸が、なぜ悪評もある九条の個人事務所にいるのか。原作ではだいぶ巻が進んでから徐々に明かされるが、実写版ではそうではない。ドラマとして、九条と烏丸の交流や、割り切ったキャラクターに見える烏丸への視聴者の感情移入を考えると、この構成の変更は当たりである。

 また、それぞれのエピソードとは独立した、主要キャラクターの過去であるため、原作を読み進めている人にとっても、それほど違和感がないのではないか。

 原作では、飲酒運転をしたチンピラが九条の入れ知恵によって救われたり、落ち度のない被害者遺族が知識がないためにもらえるはずの慰謝料を手に入れられなかったりするなど、「胸糞」エピソードも多い。

 実写版ではこうした胸糞な描写がいくらかマイルドになっているところがあった。例えば、新宿の路上に座り込む「ぴえん系女子」の笠置雫(石川瑠華)の過去やその被害は、原作ではさらに悲惨である。

 エグさは原作より薄れるが、これが地上波であったらさらにマイルドにならざるを得なかったであろうと思われ、実写版としてギリギリのラインを攻めているという印象を持った。

「底辺のリアル」を表現した
名脇役たち

 ネット上の感想では、とにかく役者が良いという意見が多く、筆者もそう思う。

 主演の柳楽優弥は原作の九条よりもルックスが甘めなのだが、その存在感で圧倒している。NPO法人でソーシャルワーカーをしている薬師前仁美を演じるのは池田エライザ。都会っぽい雰囲気の強い池田エライザが原作の薬師前に忠実なキャスティングかといえばそうでもないが、『九条の大罪』の世界観に違和感がない雰囲気をまとっているのでうまくハマる。