![フジテレビ崩壊 沈むメディア帝国#7](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/650/img_88c85bac12b6de1a98c42061e6530789691283.jpg)
フジテレビのスポンサー離れは、テレビの地盤沈下を一段と加速させるきっかけとなりそうだ。苦境にある地方局への「フジショック」の影響度は──。ダイヤモンド編集部は全国の民放127社への影響を試算した。特集『フジテレビ崩壊 沈むメディア帝国』の#7では、民放127社の2026年3月期の推定営業利益のワーストランキングを公開する。民放キー局で明暗が分かれたほか、フジ以外の日本テレビやTBSの系列局も上位に目立った。(ダイヤモンド編集部 名古屋和希、清水理裕)
全国127社「フジショック」影響度
民放73社が赤字の可能性も
初の最終赤字──。フジテレビは1月30日、2025年3月期の広告収入が1252億円と、従来予想から233億円減少し、最終赤字となる見通しを発表した。
元タレントの中居正広氏の女性トラブルへの対応を巡り、加速したスポンサー離れはフジテレビの業績に強烈なインパクトを与えた。同社単体の赤字は08年の持ち株会社移行後、初めてのことだ。
スポンサー離れはフジテレビの系列の地方局でも深刻だ。フジテレビの遠藤龍之介副会長は、1月27日の「10時間記者会見」で、フジ系列局でも公益社団法人ACジャパンへの広告差し替えが広がっていることを明かした上で、「(系列局から)『一日も早く信頼を回復してほしい』との要望が上がっている」としている。キー局と異なり経営基盤が脆弱な系列局にとって、利益率の高い広告を失うことは致命傷となる。
実は、今回の事態はフジテレビやその系列局にとどまらない恐れがある。それが広告媒体としてのテレビのさらなる存在感の低下である。「フジショック」を引き金に、テレビ広告の費用対効果を改めて見極める動きがスポンサー企業を中心に広がる可能性があるのだ。
電通がまとめたレポートによると、23年のテレビ広告費は前年比3.7%減と落ち込んだ一方、インターネット広告費は同2桁パーセント増となった。フジショックはテレビからネットへの広告シフトをさらに加速させかねない。
ではフジショックは今後、どれだけテレビ局に波及する可能性があるのか──。ダイヤモンド編集部は、今回のフジショックの影響度についてシミュレーションした。過去2年の「ベース減収率」にフジショック分の減収率を加え、26年3月期の減収額と営業利益を試算。全国127社の推定営業利益のワーストランキングを作成した。
次ページで、ワーストランキングを公開する。シミュレーションで127社のうち、約6割に当たる73社が赤字に陥る可能性があることが判明した。民放キー局で明暗が分かれたほか、フジ以外の日本テレビやTBSの系列局も上位に目立った。