吉江はなぜ行李を開けたのか
りんが環の熱を心配している頃、直美(上坂樹里)は鹿鳴館で仕事をしている。直美は髪に小日向(藤原季節)にもらったかんざしを挿して、階段を下りていく。それを見ているメイド仲間。
1階で小日向が立ち往生している。少将に至急の用があって来たが通行証を忘れたと聞いて、直美は入館できるように図る。お嬢様だという触れ込みだからか、受付の人たちは簡単に通してしまうし、妙に恭しくお辞儀して道を開ける。
「小日向さんと私の仲ですから」とすっかり癒着している。
途中、小日向に髪飾りを褒められて直美はほほ笑む。気づいてくれて、それはそれはうれしいことだろう。
直美にはナースの仕事は必要ない。将来性のある夫候補をゲットしたから。
だが仕事が終わって帰り道、直美は浮かない顔をしている。
教会に立ち寄る直美。誰もいない礼拝堂にちょうど吉江(原田泰造)が入ってくる。行李を開けているのでたまたま何かを取りに来たようで。直美は吉江に話しかける。
どうして牧師になろうと思ったのか。「人を救いたいからですか?」「(熱心に信仰していない)私にだって親切にしてくれて」と尋ねる直美に、「直美さんと話していると、そうやって正直な言葉が次々と出てきて楽しいからです」と穏やかに応える吉江。
炊き出しをはじめとして誰かを助けて喜ばれることで「私が救われているのかもしれませんね」。
こんな話をしながら、直美は結婚が決まりそうなことを報告し、吉江はそれを祝福する。
それが「あなたの本当の幸せならば」と。Is this your life?
このまま嘘(うそ)をついて結婚に持ち込んで、はたして幸せなのか(結婚したらお嬢様じゃないのは速攻バレるだろうし)と直美は迷っている。結婚以外の選択肢――トレインドナースの道も提示されたので、迷ってしまうのだろう。
重要なシーンで吉江と語る必要性とそのため偶然、吉江が入ってくる意味を作るために行李を開けさせたのはわかる。だが、手ぶらで吉江は礼拝堂から出ていくのだ。なんのために行李を開けた! 探しものをしに来て見つからなかったというサブテキストだとしたら、なかなか細かすぎる。









