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環境省は毎年、4~9月に熱中症予防強化キャンペーンを行っている。
少々、早過ぎない?と思うだろうが、日本気象協会の予想によると今春は寒暖の差が大きい一方で、暑さの立ち上がりは早いとみられており、余裕を持ってエアコンの点検や試運転を行っておいたほうが安心だろう。
このとき、気を配りたいのは寝室の温度設定だ。
オーストラリア・グリフィス大学の研究者らは、2024年12月~25年3月の夏の間に65歳以上の高齢者47人(女性32人)を対象として、寝室の温度が心血管系に与える影響を調べている。
参加者は心拍数と心拍の変動を記録するために利き手と反対の手首にウエアラブルデバイスを装着。同時に室内の温度センサーで寝室内の温度を記録した。次に得られたデータから、寝室の温度が(1)24℃未満、(2)24~26℃未満、(3)26~28℃未満、(4)28~32℃未満に分け、心拍数の変化などとの関連を解析したのだ。
その結果、夜間の室温が(1)24℃未満と比較して、(2)~(4)の全てのケースで副交感神経活動の評価指標1nRMSSDが有意に低下していることが示された。この指標は値が高いほど副交感神経が優位のリラックスした状態であることを意味するため、室温が24℃以上では、睡眠中の生理的なストレスが増大していることになる。
心拍変動との関係でも、室温が高くなるにつれて、自律神経のバランスが交感神経優位――ストレスにさらされていることを示す値や、心拍数の上昇が確認された。暑くて何度も寝返りを打つ寝苦しい夜が目に浮かぶようだ。
研究者は「夜、寝室の温度を24℃未満にすることで、睡眠中のストレス反応を抑える効果が期待できる」とし、暑さに伴う生理的な変化に弱い高齢者や心疾患の既往がある人は、日中のみならず寝るときの室温にも気を配るよう勧めている。
厚生労働省および環境省は、熱中症を防ぐための室温を28℃以下としているが、これはあくまで一昔前の目安。まして、夕方から翌朝にかけての最低気温が25℃以上になる「熱帯夜」が1カ月以上続く日本では、睡眠時の室温を24℃未満に設定することが、文字通り“睡眠と生命”を守りそうだ。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)







