
日常生活における2択に科学的なエビデンスで答える本連載。 第1回のテーマは、ビジネスパーソンの心強いビジネスツール「コーヒー」。仕事の能率をあげながら、水分補給にもなれば、まさに仕事の能率UPと健康維持の一石二鳥だ。しかし利尿作用があるコーヒーで水分補給ははたして可能なのか。第一線で活躍する専門医の先生にお話をお伺いした。
コーヒーは水分補給に
なる?ならない?
ビジネスパーソンで仕事中にコーヒーを愛飲なされている方も多いことだろう。コーヒーには、カフェインが含まれており、覚醒作用がある。仕事もはかどるに違いない。
しかし、コーヒーの利点はただそれだけなのだろうか。
熱中症や脳梗塞、心筋梗塞の予防など健康維持のために適切な水分補給が大切であることは多くの専門家が指摘するところだ。コーヒーも飲み物であり水分が含まれている。もし、コーヒーを飲むことで水分補給にもなるのであれば、まさに仕事の能率UPと健康維持の一石二鳥が狙えることになる。
ちなみに厚生労働省が後援する「健康のため水を飲もう講座」では、1日水分摂取量(食事などを含む)は2.5Lで、飲み物から1日当たり1.2Lの水分を摂取することを推奨している(※1)。
しかし、話はそう簡単ではない。コーヒーには前述したようにカフェインが含まれている。このカフェインが曲者で利尿作用があるのだ。
カフェインの利尿作用によって摂取した水分以上の水分が排出されてしまえば、場合によっては脱水症状を引き起こす可能性もあり、かえって健康上のリスク要因となる。
ネット上では「コーヒーは利尿作用があるから水分補給にならない」とか「コーヒーには確かに利尿作用があるが、アルコールに比べれば弱いので、水分補給になる」など玉石混合、さまざまな意見が飛び交っている。
では、医学的に見た場合に、コーヒーで水分補給することははたして可能なのか。そして、その場合に何か注意点はあるのか。順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科の准教授で医師の竹田努先生に詳しくお話をお伺いした。