一方で、ストレスや不安を一時的に和らげるための「消費」は、確かに気分を上げるかもしれませんが、長い目で見ると満たされないことも多いのです。目の前の欲求を満たすことが優先され、その結果として未来への不安が減るわけではありません。むしろ、過度な消費が心理的な疲れや後悔を生み出しやすいという研究結果もあります。
ですから、「今日の楽しみ」と「明日の安心」のバランスをうまくとることが大切です。貯蓄は、ただお金を貯めるだけでなく、「自分は将来を見据えてしっかり行動できる」と心から自信を持つための手段でもあるのです。貯蓄するたびに、自分の未来に少しだけ手を伸ばし、安心感を積み重ねているのだと思えば、ちょっとだけ頑張れる気がしませんか?
「貯蓄=堅苦しい」というイメージを捨ててみて、心の健康と向き合う1つの方法として楽しんでみてください。コツコツ貯めることは、あなたの心を守るお金の魔法。未来に笑顔を咲かせるための大切な鍵なのです。
死の不安までも和らげる
貯蓄のすごい力
人生はときに不安に包まれるもの。特に「死」という避けられない現実が頭をよぎると、どうしても心がざわついてしまいますよね。そんなとき、私たちのお財布や貯金箱が、ただの財産以上の役割を果たしてくれます。
SWPS社会科学人文大学のザレスキェヴィチらの研究(注2)によれば、死への不安を感じると、人は無意識に支出よりも貯蓄にお金を回す傾向があると言います。
貯蓄は「自分の未来をしっかり守っている」という安心感を与え、自分の人生をコントロールしている感覚を強めてくれる、いわば「心のお守り」のような存在なのです。逆に、派手な消費は一時的に気分を盛り上げてくれるものの、根底にある不安はなかなか消してくれません。むしろお金を使いすぎたことで、逆に不安が増してしまうことだってありますよね。
さらに、この研究では、「死」を意識させる状況に置かれた人は、貯蓄のことを考えるだけで死への恐怖が和らぐこともわかっています。
(注2)Zaleskiewicz,T.,Gasiorowska,A.,&Kesebir,P.(2013)Saving can save from death anxiety:mortality salience and financial decision-making.PloS one,8(11),e79407.







