出口戦略としての
「取り崩すトレーニング」
それを裏づけるかのように、実際にFIREを実現している人の多くは、インデックス投資だけでなく高配当株投資も併用しています。
高配当株投資を通じて、「投資益を使う」という感覚に慣れてきた人や、インデックス分の資産を取り崩さなくても、「配当金だけである程度は生活できてしまう」という人が、FIREを実現しているようです。
ただし、「FIREできない」こと自体は、必ずしも悪いことではありません。
そもそも、本気でFIREを目指す人はごく一部ですし、FIREが幸福の絶対条件でもありません。むしろ、FIREを達成しても「思ったほど楽しくなかった」と感じたり、「働くことの意味」を見出し直したりする人も多いのです。
とはいえ、この「お金を使えない」心理が、老後資金づくりにも波及してしまうとすれば、それは多くの人にとって無視できない問題かもしれません。
わたしは本稿を執筆している時点で32歳ですが、仮に65歳まで積み立て投資を続け、十分な資産を築いたにもかかわらず、結局は「節約すれば年金でも暮らせるし……」と質素な生活を選ぶとしたら。なんのために資産形成をしてきたのか、わからなくなってしまいます。
わたしに限らず、NISAで老後資金を形成した人のなかにも、「資産はあるのに、やっぱり使えない……」と悩む人がたくさん出てくるでしょう。
では、「資産はあるのに使えない」という状態を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?そこで考えるべきは、お金の「出口戦略」です。
ここでいう出口戦略には、以下のふたつがあります。
(2)「使うマインドを整える」という心理的な戦略
まず、(1)は「いつ、どのように資産を取り崩すか」を考えることです。
例えば、「65歳になったらインデックスファンドを一気に売却して現金化する」という計画を立てていたとします。しかし、そのタイミングで市場が下落局面にあった場合、基準価額が下がってしまい、思うように売却できないおそれがあります。これでは、せっかく積み立ててきた意味が半減してしまいます。
そこで有効なのが、タイミングを分散させる戦略です。例えば、50代で株高の局面を迎えたら、資産の一部を先に売却しておき、65歳の時点で相場が悪ければ、さらに5年でも10年でも待てるようにするなど、前もって「柔軟に動ける余地」をつくっておくことが大切なポイントです。







