行動科学者が3年半かけて作った「眠るための教科書」

 著者はスウェーデン人の行動科学者、カール=ヨハン・エリーン氏。自身も子どもの寝かしつけに悩む父親だったエリーン氏は、「なぜ子どもは寝ないのか」を研究し、眠くなる心理学の知識を盛り込んだ絵本の制作を決意した。幼稚園や保育園で読み聞かせを繰り返しながら3年半をかけて執筆し、2010年にスウェーデンで自費出版。英訳後に口コミで広まり、2015年にはイギリスのAmazonで自費出版本として史上初めて総合ランキング1位を記録。アメリカ、カナダ、フランスなど各国でも1位を獲得し、世界的ベストセラーとなった。

 のちに日本版の担当編集者となる飛鳥新社の矢島和郎さんもまた、当時3歳の長男の寝かしつけに毎晩1時間を要していた父親の一人だった。

「試しに原書を簡単に訳して長男に読み聞かせをしたら、『眠い眠い』とモゾモゾ動き出して、5分ほどで眠ってしまったんです。これは、同じように困っている日本のパパ・ママにも役立つ絵本になると確信しました」(飛鳥新社編集者・矢島和郎さん)

 翻訳・監修にあたった三橋さんは、作業中から本書の異質さを実感したという。「矢島さんと一緒に翻訳をしながら、私たちも眠くなってしまって……あくびをしながら作っていました(笑)。ロジャーは“寝るための教科書”と言えるぐらい、眠くなる心理テクニックが満載だったのです」(三橋さん)

 絵本の冒頭には「車を運転している人のそばで絶対に音読しないこと」という注意書きまである。この本はどんな「眠くなる手法」が隠されているのか、三橋さんに解説してもらった。

『おやすみ、ロジャー』の冒頭には、この絵本の読み方について注意書きがある(C)飛鳥新社『おやすみ、ロジャー』の冒頭には、この絵本の読み方について注意書きがある (C)飛鳥新社 拡大画像表示