歯医者「減少」時代#12Photo:PIXTA

全額自己負担で100万円前後の治療費がかかる歯列矯正。名医とはいわずとも、“外れ”には絶対にかかりたくないものだが、初回相談の場でダメな歯科医院や歯科医師を見抜くために、絶対尋ねるべき「二つの質問」がある。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#12では、後悔しない矯正歯科選びのポイントを徹底解説する。( ダイヤモンド編集部 野村聖子)

矯正歯科選びの最低ラインは
日本矯正歯科学会の「認定医」資格

 歯列矯正は原則、全額自己負担である。治療は数年にわたり、費用も最低100万円前後はかかる。だからこそ歯科医院、歯科医師選びは失敗したくないものだ。

 矯正歯科は、インプラント歯科と同様に「国お墨付きの専門医」が現時点で存在していない(本特集#3『インプラント治療で「国お墨付きの歯科専門医」がいまだに不在…その裏に広がる“医療の闇”』参照)。あるのは複数の学会が個別に私的でもうけている認定制度だ。

 国お墨付きとなる「矯正歯科専門医(仮称)」を認定する制度は間もなくスタートする見通しで、これは日本矯正歯科学会(日矯)の認定制度をベースとする予定だ。

 ならば現状、日矯の資格が最も信頼度が高いと解釈できる。矯正専門の歯科医師らは、日矯の認定制度は決して手技のうまさを保証するものではないが「知識の担保にはなる」と評する。

 そもそも矯正治療の失敗は、歯科医師の手技そのものではなく、骨格や正しい咬合など専門分野への見識が圧倒的に不足していることで起こる場合がほとんどだという。故に矯正歯科選びでは「日矯で認定医以上(認定医、指導医、臨床指導医)の資格を取得していることは最低ライン」と、専門の医師たち自身が言う。

 日矯の認定資格は従来のワイヤー矯正をベースにしたものだが、昨今はワイヤー矯正よりも目立たずに自分で取り外しもできるマウスピース矯正が人気を集めている。自身もマウスピースで歯列矯正をした日矯の認定医資格を持つ歯科医師は、「私個人の感想」と断った上で「自分で取り外しができるので虫歯になりにくいし、ワイヤーよりも痛みが少なかった」と振り返り、患者にとってのメリットは大きいようだ。

 彼いわくマウスピース矯正を受けるにしても「マウスピース“しか”取り扱えない歯科医師は避けた方がよい」という。

 なぜ、マウスピース矯正しかできない歯科医師はダメなのか。次ページではその理由と共に、駄目な歯科医院や歯科医師を見抜くために初回相談で患者が絶対尋ねるべき「二つの質問」など、後悔しない矯正歯科選びのポイントを徹底解説する。