「やり切りました」と言う若手は
仕事の表面しか見えていない

 若手の転職面接で、表現は悪いですがこれが出てくると「ウソつけ……」と感じてしまう言葉があります。

「やり切りました」
「一通りやりました」

 なぜ「ウソつけ……」と感じるのか。たとえば新卒採用業務では、採用スケジュールに多少の変更があったり、新卒採用市場の雰囲気が変わったりするくらいで、確かに毎年行う業務にそれほど違いはありません。

 インターンシップを企画し、学生との接点を作り、採用広報を行ってエントリーを受け付け、段階を踏んで選考を進め、正式内定を出したら懇親会や内定者フォローを行って辞退者の発生を防止し、翌年度採用のための振り返りを行う――。

 こうした年間の業務サイクルを一回り経験したから、「やり切りました」「一通りやりました」という人が実際にいます。

 しかし、それは手順がわかった、もしくは段取りを知っているというだけに過ぎません。確かに経験者にはなりましたが、あくまで初級のレベルです。

 もしやり切ったというなら、採用人数や人材の質について経営者と議論しコミットして、適切に採用活動を行って、最終的に約束した人数と質へ正確に着地させなければなりません。

 それは「1年間の業務サイクルを回す」こととは、難しさの次元がまったく異なるのがわかるでしょう。

 つまり、業務の表面をなでただけで本当の難しさが見えていないと「やり切りました」「一通りやりました」という表現が出てきてしまうのです。

 こうした言葉が自然に出てくる人は、仕事の奥行きに目が向きにくく、結果として伸び悩みやすい。経験者として採用しても、期待したほどの付加価値を出せないことがあります。

 逆に仕事の奥行きが見えている人は、そこを乗り越えるために必死で考え、調べ、いろいろな人に相談して挑戦し、うまくいったり失敗したりしながら前に進んでいきます。

 要はPDCAを回す回数が多くなるので、結果として成長できるのです。仕事にも深みが出て、より大きな価値を生み出しやすくなります。