今回のマイナーチェンジで、三菱が誇る最新の4輪駆動制御システムが新たに導入された。顔つきも変えた。2019年のビッグマイナーで「都会的」に整形しすぎた顔面にメスを入れて、今回はグッと精悍に、アウトドアテイストを取り戻した印象だ。20年目の骨格プラス最新のメカニズムと新しい顔。老兵はそれをどう表現しているのか。早速クルマに乗り込んでみよう。テストコースはいつもの首都高速一筆書き150kmである。

首都高を150km走る~意外にも驚きの静かさ

 世田谷の自宅を出たのは午前4時。空はまだ暗く、気温は12℃だ。スタートボタンを押す。キュルキュルと2.2リットル・4N14型ディーゼルが目を覚ます。その音は拍子抜けするほど静かで、新しく越してきた隣家に気を遣う必要はなかった。

 用賀から首都高3号線に乗り、まずは都心環状線を時計回りに一周。本日の準備運動代わりである。

 まず驚かされたのは静粛性だ。車高の高い、本気四駆のディーゼル車である。「静かなクルマ」を想像する人はまずいないだろうし、私もそうだった(愛車フェル号ハイエースのディーゼルは、決して「静か」とは言い難いのだ)。ところが首都高を定速で巡航してみると、ディーゼル特有のガラガラ音が聞こえてこない。無論ゼロではないのだが、意識して耳を澄まさないと拾えないレベルにまで抑え込まれている。20年目の「熟成」とはこういうことか。

 環状線を一周して再び3号に戻り山手トンネルに入る。大橋ジャンクションのスパイラルを下り、地下深くに潜っていく。トンネルは遮音性能の試験場だ。壁に反射したロードノイズが容赦なく跳ね返ってくる。ここで化けの皮が剥がれるクルマは少なくない。しかしデリカの皮は剥がれなかった。むしろトンネル内の方が快適だと感じたのは、風の影響が無いからだろう。全高1875mmという背の高さは、地上にいる限り常に風との戦いである。

ディーゼル+8速AT

 山手トンネルを北上し、板橋ジャンクションからC2へ、さらに荒川を渡って湾岸線方面へ向かう。荒川沿いに長い直線区間が続く。午前4時台の首都高は大型トラックが多く走っている。彼らは制限速度をキッチリ守って粛々と列を成している。その脇を抜ける際に、デリカの動力性能が現れる。2.2リッターのディーゼルターボが生む380N・mの最大トルクを、8速ATが3速、4速、5速と実にスムーズにつないでいく。1930kgの車体が軽々と前に押し出されるトルク感は、ガソリンエンジンでは味わえない醍醐味だ。太いトルクが途切れることなく湧き続ける。ディーゼルの美点を、8速ATが遺憾なく引き出している印象だ。

デリカD:5のエンジンデリカD:5のエンジン Photo by F.Y.

 首都高には温度変化による伸縮を吸収するために継ぎ目が多く設けられている。この継ぎ目をどう「処理」するかで、クルマの足回りの素性が如実に表れる。デリカの継ぎ目の通過は、明確にフラットライドだ。「トントン」という入力はあるのだが、角を持たず、硬くも柔らかくもない。入力を受け止めたダンパーが一発で振動を収束させる。実に心地が良い。