「乗り心地がいい」と「ボディ剛性が高い」は混同されがちだ。だが本質は違う。ボディがガチガチに硬いと、路面からの入力が乗員の身体にドカドカ伝わってしまうし、逆にボディがヤワで撓んでしまうと、サスペンションが持つ本来の能力を発揮できない。ボディが「正しく硬く」、サスペンションが「正しく動く」、剛と柔の使い分けが必要だ。デリカ独自のリブボーンフレームは、まさにこの剛柔の役割分担のために存在している。骨格が剛性を担保するからこそ、足が良い仕事をできるのだ。19年前の設計思想が、幾度もの改良を経て今に至っている。

湾岸線で際立つ「直進安定性」

 葛西ジャンクションから湾岸線に入る。片側3車線の広々とした道が広がる。ここでD:5のもう一つの美点が際立った。直進安定性である。

 1875mmの全高である。当然横風に弱い。実際に大型トラックの脇を追い越す瞬間には、風が横からドンと押してくる。風を受ければクルマはグラつく。だがそこからの収まりが良い。S-AWC(Super All Wheel Control)。三菱が誇る統合車両運動制御システムである。ランサーエボリューションで鍛え上げ、アウトランダーで熟成させ、今回のマイナーチェンジでついにデリカにも最新版が搭載された。横風を受けた瞬間に、4輪のトルク配分が介入しているはずなのだが、その介入が身体で感じ取れない。ごく自然に、何事も無かったかのように走り抜ける。

 さらに印象的なのはジャンクションにおける旋回だ。設計速度40km/h。バンクのついた急カーブ。荒れた路面に連なる継ぎ目。さらに前走車のブレーキランプ、無理な割り込み、追い抜き。あらゆる入力が同時に襲いかかる。

 大黒ジャンクションへの進入でブレーキを踏み、1930kgを減速させ、ステアリングを切り込む。ノーズがスッと入る。重量を感じさせない。ヨーの発生は穏やかだが、遅れがない。重心が高いはずのミニバンが、実にキビキビ動く。S-AWCが前後のトルク配分を最適化し、AYC(アクティブヨーコントロール)が左右輪のブレーキを個別に制御しているのは理屈として理解できる。しかし理屈と体感がここまでに一致するクルマはそう多くない。

 三菱はこのクルマをどう仕上げたのか。2007年のロートルプラットフォームに、2025年の最新の電子制御をいかにしてマッチングさせたのか。S-AWCの制御は何を基準にチューニングしたのか。開発者にタップリ伺おう。