ますます賢くなるAI、「幻覚」見抜くのは一段と困難にIllustration: Juanjo Gasull for WSJ

 チャド・オルソンさんは、自分の人工知能(AI)チャットボット「ジェミニ」から、カレンダーに「家族の集まりを計画する」という予定が入っていると告げられた時、困惑した。

 ミネソタ州ミネアポリスで仕事から帰宅途中だったオルソンさんは、そのような予定を組んだ覚えがなく、ジェミニに最近の電子メールのいくつかを要約するよう依頼した。

 プリシラという名前の女性が、ラムの「キャプテンモルガン」やウイスキーの「ファイヤーボール」などの酒類を取りに行くよう頼むメッセージを複数送ってきたとジェミニは述べた。また、シャーリーという人物がアイスクリーム菓子の「クロンダイク・バー」を買うよう頼んだとも伝えた。オルソンさんはこの人たちが誰なのか全く見当がつかなかった。

 ジェミニは「たくさんの人たちがいろいろなことを頼むために連絡してきているようです!」と言った。

 困惑したオルソンさんは、ジェミニがどのアカウントから情報を取得しているのか尋ねた。ジェミニが挙げた電子メールアドレスは彼のものではなかった。

 オルソンさんにデータ侵害のように見えたものは、実際には チャットボットによる作り話 だったと、ジェミニの開発元であるグーグルはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に述べた。内部調査を行ったところ、参照されたアカウントはアクティブではなく、酒類やアイスクリームを欲しがっている送信者も存在しなかったことが判明したという。グーグルは、ジェミニは他のモデルよりも「ハルシネーション(幻覚)」が少ないとし、改善に取り組んでいると表明した。