お笑い芸人の鈴木もぐら写真提供:ポプラ社

誰にでも思い出の味というのがあるだろう。空気階段・鈴木もぐらにとってのそれは、部活帰りの「のり唐」弁当。芸人屈指の飯好きとして知られる彼が、弁当をより美味しく食べるために行っていた工夫とは?※本稿は、お笑い芸人の鈴木もぐら『没頭飯』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

将棋に明け暮れた
鈴木もぐらの学生時代

 将棋ができる同世代の子どもはほとんどいませんでしたから、相手をしてくれるのはもっぱら私のおじさんや、友達のじいさん。でも当然、私が相手になるわけがないんです。当時の私なんて駒の動かし方がわかる程度。定跡もなにもわからない。中でも友達のじいさんはまったく容赦をしない。子ども相手だからって「飛車角落ち」なんてもってのほか。つねに平手。やりたい放題やられました。超つよかった。ボコボコです。

 圧倒的な実力差があったとしても、負けるとやっぱり悔しい。「歩」で「飛車」や「角」を取られた経験がありますか?あの悔しさと言ったらもう。結局じいさんには一度も勝てませんでした。

 私が30歳のとき、将棋のじいさんが亡くなったと小学校の同窓会で聞きました。驚きよりも悲しみよりも先に、こみあげてきたのは悔しさです。「ああ勝ち逃げされたな」と。今の私とやったらどういう結果になっていただろう。じいさんの強さはホンモノだったんだろうか。やっぱり勝てないんだろうか。じいさん、もう1回あんたと将棋指してみたかったよ。

 中学生になっても将棋熱は冷めやらず。ノートにボールペンで将棋盤を、えんぴつで駒を書いて、友達のトモヒサと授業中も将棋の毎日です。