心から笑い合える相手とは

 直美が捨松の家から帰る途中、占い師(研ナオコ)が声をかけてくる。

「私が言ったように、心から笑い合える人と出会えただろう」と言われ、直美はそれが詐欺師(藤原季節)とのことだと思い込み、「だまされた」と文句を言う。

「違う違う、私が言ったのは、その人じゃなくて」
「もう男の人はしばらく結構です」

 そこで風がヒューッと怪しげに吹く。

「もうすぐ、お嬢さんのもとに、そうだねえ。天の使いのような人が現れるよ」

「風なら、天女じゃなくて天狗じゃない?」と直美はなかなか頭がいい。

 と見れば、占い師の姿はあとかたもなく消えている。あとにはお地蔵さんがいるだけ。

 謎の占い師はお地蔵さんの化身なのか。ここだけちょっとファンタジー風味になっている。

 そんな感じではじめての休日は終了。りんと直美以外は門限の7時までに帰ってくる。

「ただいま帰りました」の声を聞いて、トメは木箱を閉める。「なんだかいい香りがするわね」と言われるが、まだその中身は明かされない。

 門限を破ったら、どんな罰があるか、既に帰ってきた者たちは語る。

「退学だったりして?」

 りんと直美が時間を過ぎて戻ると入口で松井(玄里)が待ち構えている。ふたりが手分けしてこっそり入れそうなところを探している途中、直美はりんに「ありがとう」と言いかける。だが、りんには聞こえていない。

 生け垣に隙間を見つけ、くぐって中に入ると、りんの髪に葉っぱがついていて、ふたりはふふっと笑い合う。

 占い師の言う「笑い合える人」とはりんのことなのだろう。でもふたりはまだ気づいていない。

 風が吹き、直美の髪がなびく。

 りんはまとめ髪なので風感が出ないが、直美の髪形は風感があっていい。

 ドラマの原案の『明治のナイチンゲール』では、直美のかなり遠いモチーフになっているらしき鈴木雅が断髪だったことが記されている。直美の設定は鈴木とはかけ離れているが、当時めずらしい女性の断髪という点は倣っているようだ。

「オブザーブ」って、どういう意味?貴婦人と哲学者の“日本語訳の差”が興味深い〈風、薫る第24回〉
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