「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

「語彙を増やせ」では逆効果? 子どもの言語化力を伸ばす意外すぎる方法Photo: Adobe Stock

「言語」はもともと「身体で感じたこと」の翻訳

「首が回らない」「腹が立つ」「胸がいっぱい」といった慣用句は、いずれも身体の状態を使って感情や状況を表現しています。
「頭にくる」「胸が痛む」「顔が広い」「手に負えない」「足がすくむ」なども同様です。

言い換えれば、言語は、もともと身体で感じたことの翻訳なのです。

この視点に立つと、子どもの言語化力の伸ばし方が見えてきます。
いきなり言葉を引き出すのではなく、まずは身体で表現させてみるのです。
たとえば、「うれしい」「悔しい」「モヤモヤする」といった感情をお題にします。子どもは、身振り手振りや表情でそれを表現します。

両手を大きく広げてジャンプする。
膝を抱えて顔を伏せる。
首をひねって眉間にしわを寄せる。

子どもは身体を使い、非言語で一生懸命に伝えるでしょう。
そのあとで、「今の気持ちを言葉にすると?」と問いかけます。すると、「空に飛び上がりたくなるくらいうれしい」と答えるかもしれません。言葉出てこないときは、大人が「今の動きからして、こんな気持ちかな?」と言葉の候補を提示してもいいでしょう。

「身体⇔言葉」の往復で真の言語化力が身につく

この「身体⇔言葉」の往復によって、感覚と言葉が結びついていきます。

大切なのは、大人が正解を押し付けないことです。
子どもに「身体と非言語で表現させる→それを言葉にする」をくり返すことで、身体感覚を通じて言葉を感じることができます。表現し終えたら「『胸が痛む』っていう言葉あるよ」とさり気なく慣用句を伝えてもいいでしょう。
言葉が出にくい子には「『胸がいっぱい』と『胸が苦しい』だと、どっちの気持ちに近い?」と優しくエスコートします。

さらに、「腹をくくる」「胸をなでおろす」「肩の荷が下りる」などの慣用句を身体で再現させる方法も有効です。実際に身体を動かすことで、言葉と意味を身体的に理解することができます。
お腹に力を入れると覚悟の感覚がわかり、肩を落とすと安堵の感覚が実感できる、という具合です。言葉は、体感と結びついたときに、定着しやすくなります。

言語化とは、頭の中だけで完結する能力ではありません。感覚、感情、身体などが密接に結びついています。だからこそ意識したのは「身体⇔言葉」の往復です。

身体を使った言語化トレーニング、ご家庭でお試しください。

*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。