藤田朋宏代表取締役CEO。本社研究所内でもリアクターによって培養された藻類を使い、日々研究が行われている。山翠舎・山上浩明代表取締役社長。解体後の古民家の梁(はり)や柱を、商業施設の内外装づくりに再利用。「都市に居ながら自然と対話できる心地よい空間」をプロデュースする Photo by KUNIKO HIRANO

数百年にわたって古民家を支えてきた木の梁(はり)や柱が、家の解体後は“古材”として廃棄されている――。状況を看過できなかった山翠舎の山上浩明社長は、これらの梁や柱を商業施設に移転し再利用するビジネスに着手した。再生木材を「古木(こぼく)」と名付けて商標登録。同時に、流通拡大に欠かせない品質管理システムを自社で開発し特許も取得した。「古木は“時間資本”」と語る山上社長。同社が設計・施工した都市の商業施設は、古木との悠久の時間を過ごす多くの顧客でにぎわう。(取材・文/タカハシトモコ)

古民家を支えた「古木(こぼく)」を都市の商業施設に再利用

――古民家で使用した柱や梁などを再利用する商業施設の設計・施工、空き家になった古民家のリノベーションなどを中心に事業展開されています。

山上  店舗の設計・施工から開業支援までを行う「内装・建築事業」に加え、建築材料の「古木(こぼく)」(※1)の買い取り・保管・販売・設計・施工をワンストップで手掛ける「古木事業」、古民家を宿泊施設や商業空間に転用する「古民家再生事業」にも注力しています。

 古民家を何百年と支えてきた木材も、家が解体されると同時に「古材」となりますが、私たちはその眠れる価値に着目、「古木」と名付けて再生し、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返す現代の建築の在り方に一石を投じてきました。

――古木を用いた建物の施工例を教えてください。

山上  これまで600件を超える店舗や商業施設の設計・施工に携わっていますが、古木は全て唯一無二のものなので、案件ごとの条件に合った空間づくりに尽力しています。

 最近の事例では、環境保全を事業の根幹に掲げているアウトドアブランド「パタゴニア」の2店舗の施工を受注しました。

  「パタゴニア軽井沢ストア」では、エントランス上の看板に、長野の古民家で梁材として使われていた太い古木を使い、「パタゴニア 東京・京橋」では、レジカウンター周りやルーバー、サインに主に長野県、新潟県の古民家から集めた古木を用いて、ブランドの精神を力強く表現しています。

 国産米粉など、こだわりの素材のパンで全国展開するベーカリーカフェ「R Baker」最大規模の旗艦店「うめきたグリーンプレイス店」では、古木を随所に配した設計で、自然を見つめ直し食の在り方を探究する同グループのブランドメッセージを具現化しました。

 ホテルの領域では、IHGホテルズ&リゾーツの「voco」ブランドで日本初出店の「voco大阪セントラル」において、エントランスを飾る木組みの施工を担当しました。ここでは洗練された現代的な空間に古木の温かみを融合させて、居心地の良さを演出しています。

※1 「古木(こぼく)」「KOBOKU」は、山翠舎の登録商標