超富裕層向けデベロッパー会社が
ニセコを紹介し風向きが変わる
スキーリゾートとしてのニセコエリアが、世界的ブランドである「Niseko」になっていく過程で起きた象徴的な出来事をいくつか紹介したい。
2010年、カナダ出身のジャーナリスト、タイラー・ブリュレ氏は、自ら創刊した雑誌『Monocle』でニセコを取り上げた。『Monocle』は、国際情勢、ビジネス、文化、都市、デザインなどを取り上げるグローバル雑誌だ。
彼は、この雑誌を作る11年前の1996年に、『Wallpaper*』も創刊している。『Wallpaper*』はデザイン、建築、インテリア好きに愛読され、50カ国以上で販売された。前述の大久保氏は、二度、ニセコと東京・六本木でこのタイラー氏の取材を受け、ニセコの魅力を語っている。
この記事にすぐさま反応したのが、イギリスのデベロッパー兼インテリア会社、「Candy London(キャンディ・ロンドン)」社だった。超高級不動産のみを取り扱うことで有名なこの会社の顧客になるには、資産規模が50億円以上なければならない。そのCandy Londonのたった2ページしかないホームページに、ニセコの不動産が紹介され、さらには購入した顧客のインタビューも載った。
それを見た同社の他の顧客たちが、「ニセコだって?俺がまだ持っていない地域じゃないか。すぐに欲しい」と飛びついたのだ。これにより、世界の富裕層、とりわけ超高級不動産が大好きな層が連鎖的にニセコを欲しがるという事態が生まれた。
Appleのティム・クックに
ツイートされる偶然も重なる
2つ目の象徴的な出来事が起きたのは、2018年頃と思われる。AppleがiPhoneに内蔵されているカメラの高い性能をアピールする広告キャンペーン「iPhoneで撮影」を展開していた頃だ。キャンペーンに使用される写真は、当時のTwitter(現X)で紹介された。
投稿したのは、Appleの最高経営責任者(CEO)ティム・クック本人だった。そこには、色とりどりの気球が浮かぶトルコのカッパドキア、一面雪景色のウクライナ、そしてニセコの写真があった。
3枚の中でニセコを写した写真が一番大きく表示された。







