そう聞くと、高市ファンの皆さんは「首相の靖国参拝や減税を邪魔する敵が政権内や党内にいて足を引っ張っているのでは?」というストーリーを思い浮かべたくなるだろうが、これはそんな大層な話ではない。
もともと「現実的には難しい」ということを、高市首相が「やります」と公言してそのツケを払わされているだけだ。厳しい言い方をすれば、身から出たサビである。
まず、靖国参拝に関しては、高市氏が首相に就任する前から永田町界隈では、熱心な保守をのぞいて「そんなもん無理でしょ」という見方が多かった。本連載でも昨年11月、首相就任直後に《アメリカとの関係から「靖国参拝」の実現は難しいと言われる》とお伝えしている。(「高市首相の支持率80%超」に首をかしげるアンチが知らない“首相の人柄” ダイヤモンドオンライン 2025年11月6日)
日本の首相は安倍晋三元首相が2013年12月に参拝をした以降、誰ひとりとして参拝をしていない。これについてネットやSNSでは「親中政治家が中国に配慮した」と批判されることが多いが、現実はそうではなくアメリカへの配慮の面が大きい。
安倍元首相が参拝した際、アメリカは「日本の指導者が隣国との緊張を悪化させる行動をとったことに、米国は失望している」という異例の声明を出して、日本政府を震え上がらせた。
なぜアメリカがそんなイチャモンをつけてきたのかというと、もちろん「アメリカファースト」のためだ。
アメリカは中国・北朝鮮の脅威を封じ込めるには「日米韓」の連携が必要不可欠だと考えている。しかし、日本の首相が靖国に行くと、韓国の大統領も反日世論に迎合して、日本にファイティングポーズを取らなくてはいけないので「日米韓」の連携に亀裂が入る。最悪、中国と韓国が「反日」で接近、ロシアと北朝鮮もそこに合流して日本だけ孤立という、アメリカの安全保障上、よろしくない展開になってしまう。
また、経済的にも軍事的にもアメリカが東アジアで最も気を使わなくてはいけない大国・中国との交渉も面倒になる。中国・韓国が靖国、靖国と騒ぐのは、1978年に「A級戦犯」が靖国にこっそり合祀されたことが大きい。
では、この「A級戦犯」を裁いたのは誰かというと、アメリカ、イギリス、ソ連、中国を中心とした連合国である。
つまり、日本の首相の「A級戦犯」を国のために戦ってくれた英霊として祀ることを容認してしまったら、中国はこんな面倒くさいクレームをアメリカに入れてくるということだ。







