この検事には絶対に
調書を作らせまいと決心
別の日の取調べでは、仮定に基づく質問をいくつもしてきました。
「村木さんの記憶にはないことかもしれないけど、上司から(偽証明書の作成を)『やってね』って言われたら、Bさん(編集部注/著者の部下である係長。結果的に偽証明書を作った実行犯と判明し、有罪判決を受けて結審)はどうしただろう?」
そんな仮定の質問には答えられないので黙っていると、
「じゃあ、Bさんが金銭目的や悪意から、こういうことをやったと考えられますか?」
私が「あり得ないと思います」と答えると、
「もし、Bさんが上司から指示されて追い詰められたとしたら、可哀想ですよね」と、さらに仮定の質問をしてきます。「そうですね」と、私は返すしかありません。
こうした問答の末に國井検事が作った調書は、こんな内容になっていたのです。
「Bさんに対し、大変申し訳なく思っています。私の指示が発端となってこのようなことになりました。Bさんは真面目で、自分のためにこういうことをやる人ではありません。私としては、彼がこういうことをやったことに、責任を感じています」
これには本当に驚きました。仮定の質問をいくつかして、私の答えから検察に都合のいい部分だけを取り上げて調書を作っているのです。「サインしますか?」と言われて即座に断り、この人には絶対に調書を作らせまい、と心に決めました。
國井検事は非常に思い込みの激しい人で、「キャリアは悪官僚だ」といった話をしきりにするので辟易しました。
何が根拠かわかりませんが、彼の頭の中では、省庁内のノンキャリアは、キャリアから汚れ仕事ばかりやらされて、ひどい目に遭っているらしいのです。
無実の死刑囚もありえると
ほのめかす検事に驚愕
この事件も、「ノンキャリアのBは、キャリアの村木に指示されて嫌な仕事をやらされた」という筋書きにしたかったのです。
のちの裁判でも、検察側証人として出廷した國井検事は、「事件の背景には、ノンキャリアが嫌な仕事をさせられてきたことがある」と説明しましたが、裁判官から「具体的には?」と質問され、何も答えられませんでした。







