そんな彼女を支えたのが、夫の親友の妻である柏村美和(かしむら・みわ、69歳)さんでした。

 美和さんも数年前に夫に先立たれた経験があるためか、お通夜や葬儀の手配から初七日まで、全てを取り仕切ってくれました。

 その1週間後、お線香をあげにきた美和さんは優しくほほ笑みながら言いました。

「姉のような存在」が一変
一方通行の関係に

「恵子さん、一人じゃ寂しいでしょ? これからは私が毎週顔を見に来るから。何かあったらすぐに言ってね。あなたを妹のように思っているから、本当に大事なのよ。遠慮なんかせずに頼ってね」

 恵子さんと美和さんの関係の始まりは40年以上前にさかのぼります。

 夫同士が同じ会社の同期入社だった頃から、家族ぐるみで食事や旅行を重ねる仲でした。

 一人っ子で引っ込み思案だった恵子さんにとって、明るく引っ張ってくれる美和さんは「姉のような存在」でした。

 お互いに子どもに恵まれず、近所同士でもあったことから、家族のように付き合ってきました。

 夫の死後、美和さんは言葉通り毎週のように訪ねて来てくれました。

 夫を亡くしてまだ日も浅い恵子さんが、ふとした瞬間に涙をこぼすと、美和さんは隣で寄り添いながら「好きなだけ泣きなさい」と優しく背中をさすってくれました。

 その温もりに、恵子さんはどれだけ救われたことでしょうか。

 やがて二人で温泉旅行に行くようになり、月に2~3回はあちこちへ出かけるようになりました。

 布団を並べて眠る夜、美和さんはにっこりほほ笑んで言いました。

「恵子、私もあなたも子どももいないし、親も夫も亡くして、きょうだいもいない。私にはあなた。あなたには私。二人で力を合わせて、楽しく生きていきましょう」

 その笑顔は、恵子さんに安心感と安らぎを与えました。

 ここまではとても良い話にしか聞こえなかった関係が、徐々に異常な色を帯び始めました。

 その関係は異常なほど一方通行でした。