「いつも、悩みすぎて損してる!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
「“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)
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コンプライアンス遵守の現代日本
「コンプライアンスを遵守せよ」これは、新社会人が、入社時研修で必ず会社から言われる言葉だ。
今更その意味を説明する必要はないほど、コンプライアンスという言葉は現代日本に浸透しきったと言っても過言ではない。オフィスの壁にはコンプライアンスの注意喚起を促すポスターが貼られ、毎年のように人事部からコンプライアンスのE-learningの受講連絡が来る。
企業のコンプライアンスは、パワハラやセクハラだけではない。会社の情報をみだりに外部に持ち出さないという「情報管理」もその一つだ。企業秘密のみならず、取引先の連絡先や名刺情報も管理の対象になる。昨今はAIの発達もあり、社内監視ソフトで従業員の行動に目を光らせている。
「会社員生活が財産にならない」重大な理由
私が、この話をわざわざ取り上げるのは、「情報管理」の注意喚起のためでは“ない”。むしろ、情報管理に関するコンプライアンスをしっかり遵守すればするほど、あなたが会社員生活で気づいた“人脈”は、あなたの手には何も残らないという恐ろしい事実を知ってもらうためだ。その繋がりは、従業員という立場に紐づいた繋がりにすぎず、その連絡先はコンプライアンスの観点から外に持ち出せない。
無自覚に会社員生活をしていると、1000人と名刺交換をしたとしても、その内、個人的な連絡先を知っているのは1名がいいところだ。名刺管理ソフトの中には素晴らしく綺麗にデータが整理されているかもしれないが、会社を辞めれば彼らは一生連絡が付かない相手になってしまう。
会社はあなたを「使う」だけ
私の駐在先のインドは、人材の流動性が非常に激しく、インド民の従業員は、漫然としていると会社に都合よく使われるだけという構造を理解し、個人の人脈形成に勤しんでいる。例えば、従業員や取引先同士で、個人の携帯電話をわざわざ教え合ったりして、人脈が個人に内在するように工夫している姿も見る。退職する部下から、「会社の携帯電話の番号を個人として引き継がせてほしい」という相談をもらうこともある。
インド民の態度や思考法は、「自分は、会社というシステムやオーナー使われている使用人の立場に過ぎない」という、残酷な社会構造に対する正確な理解と、その構造の中でいかに自分個人が利益を絞り出すかという強かな戦略に依拠している。
日本人は、良くも悪くも会社に対して心底ロイヤリティが高く、今勤めている会社という機会を使って自分個人の人脈を育てていくという思考が比較的薄い。
「個人の連絡先交換」に勤しむインド人
新社会人は、この先一年で何百人もの新しい人と出会うだろう。インド民のように強かに、「会社員としての人脈」ではなく、「自分個人の人脈」を作るべきだ。せっかく会社の看板を使って知り合った魅力的な相手とは、個人的な連絡先を交換し合うことをおすすめしたい。このしたたかな用意をしているかどうかで、今勤めている会社を辞めて、会社携帯とパソコンを取り上げられたその瞬間に、連絡できる相手が誰もいないという悲しい事態は避けたい。この事実を意識して、自分のための人脈を蓄積していった人間と、会社のためにだけ働いていた人間との間の差は明白だ。
私に、このような気づきを与えてくれたのは、インド民の生き方や思考法だ。日本の常識の中で生きていると、冷静に考えてみれば当然のことなのに見えにくくなっている社会の仕組みに気づくことがある。
インドは、ほとんどの日本人にとって縁遠い地域だが。だからこそ、思わぬ視点を私たちに与えてくれる。ぜひ、『インド人は悩まない』を一度開いて、これまで体験したことのない刺激を受けてほしい。
(本記事は『インド人は悩まない』の一部を調整・加筆・編集した原稿です)









