政界重鎮の失言を彷彿とさせる
「わきまえなさい」

 ネット上での感想を見ると、「社会派」「真正面から政治を描いている」など、やはり思った以上にガチであるという印象を抱いた人が多いようだ。

 また、黒木華と野呂佳代の「バディ」関係がこれからどう描かれるのかを楽しみにする声も多い。長澤まさみや鈴木亮平といったスター俳優が出演した『エルピス』に比べて、『銀河の一票』は政治家から市井の人まで、リアリティを追求したキャスティングに映る。ドラマのメッセージである「政治とどう向き合うか」を考えるときに、このキャスティングは活きてくるように思う。

『エルピス』では、安倍晋三元首相の画像がニュース映像としてそのまま使われ、麻生太郎自民党副総裁をモデルにしたかのような政治家の登場も話題になった。
 
 今回は、坂東彌十郎演じる政治家が、娘のまつりに向かって「わきまえなさい」というシーンが2回ほどあった。5年前の、東京五輪組織委会長だった森喜朗氏の「わきまえ」発言を彷彿とさせる場面だった。この「わきまえなさい」というセリフへの反応も多く見られる。

 政治と選挙を正面から扱うドラマなだけに、好き嫌いが分かれるところはありそうだ。1話の後半で、まつりとあかり、それぞれに長いセリフがある。

 まつりは宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」を座右の銘とし、その志を持つ政治家でありたいと願っている。その思いから、父の過去に何があったかを探ろうとする。

 しかし幼馴染の政治家・日山流星(松下洸平)からは「真実=救いじゃないからね」と止められる。政治を、ひいては日本を変えることができる自分たちの立場を「国民一人の死」の問題なんかで手放すべきではないというのだ。

 自分たちは「影響を与える側」の人間であり、大義名分のために些事は切り捨てよという、あまりにも利己的で残酷な言葉なのだが、松下洸平が「国を背負う人間が個人を背負っちゃいけない」と言うと、なるほどこのような言葉に説得される人もいるのであろうと感じる。

 まつりは流星の言葉に納得することはできず、あかりがママをしているスナックで思いを吐露する。突然の熱弁に常連客は呆気に取られるが、あかりだけはまつりを追いかけ、その思いを受け止めようとする。

 与党幹事長の父と、若手のホープ議員である幼馴染を敵にまわしてしまったあかりはどう見ても分が悪い。ここで「勝ち組」の流星ではなく、あかり側に感情移入できる人は今後もドラマを楽しめるのだろう。逆に言えば、流星側の人は離脱しがちかもしれない。