その原動力はアニメ主題歌ではなかった。デビュー曲の「夜に駆ける」がこの年Spotifyの発表する「海外で最も再生された日本のアーティストの楽曲」の3位にランクインしている。2021年1月にリリースした『BEASTARS』オープニング主題歌の「怪物」は10位。
もちろんアニメタイアップは彼らの人気を海外に押し広げたが、実はグローバルな現象の発火点はそこではなかった。このことを数字が示している。むしろデビュー曲「夜に駆ける」の時点でYouTubeやストリーミングを介してリスナーが各国に広がっていたのである。
最初の兆しが生まれたのは2020年7月。彼らが4作目のシングル「たぶん」をリリースした頃だ。YOASOBIのチームは、その微細な動きを見逃さなかった。すぐにそれを推し進めるプランニングを始めた。
ソニーグループ傘下の音楽配信会社、The Orchard Japanでディストリビューションを担当した増田雅子氏はこう語っている。
「ちょうど『たぶん』という楽曲をリリースする前に台湾やアジアを中心に動きが出てきた。アナリティクスを見ているとどこの誰が聴いているかわかるので。これはアジアいけるんじゃないかと感じたんです。それで『たぶん』を出すときに正式に海外ピッチを始めました。海外でもやっていきたいということをきちんと伝えて、英語資料を作ってプレゼンを始めた。そこからグーッと伸びていって、アジアでの数字が特に増え始めた。
日本のみとか日本と台湾のみではなくて、いろいろな地域で一斉に数字が上がり始め、そこにニューヨークチームが反応して。わりと母数が上がってきているので、これはアメリカ含めてグローバルでどういったことができるか考えてみようよ、と話し始めました」(Rolling Stone Japan「音楽家がグローバルで活動するためには、The Orchard Japanヴァイス・プレジデントに聞く」2024年2月1日掲載)
ikuraの流暢な発音と
世界進出を見据えた秀逸な翻訳
増田氏はThe Orchardの強みとして「どの国でどの曲が売れているかが即座にわかるデータ分析システムを持っていること」と「世界各国に拠点があり各地のスタッフが連携していること」を挙げている。







