この「援護」のひとつが、再生回数のランキングによる状況の可視化だ。サービス開始の翌2017年からSpotifyは毎年「海外で最も再生された国内アーティスト」のランキングを発表している。2017年から2019年はONE OK ROCKが3年連続で1位。彼らの地道なツアーの成果が数字として証明された形だ。
しかし2020年に潮目が変わる。同ランキングでLiSAが1位となり、「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」の1位も「紅蓮華」となった。言うまでもなく『鬼滅の刃』が各国で支持を広げた結果だ。以下も2位のTK from凛として時雨「unravel」(『東京喰種』オープニングテーマ)、3位のKANA-BOON「シルエット」(『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニングテーマ)などアニメ主題歌が並ぶ。アニメと共にJ-POPがグローバルに聴かれる状況が、数字として誰の目にもハッキリと示された。
海賊版サイト・クランチロールが
J-POPの運命を変えることに
2021年もその傾向は続いた。「海外で最も再生された日本のアーティストの楽曲」の1位は、アニメ『呪術廻戦』のオープニング主題歌であるEve「廻廻奇譚」。2位に「紅蓮華」が続き、アニメ関連の楽曲がトップ10のうち8曲を占めている。
なぜアニメタイアップはJ-POPのグローバル化における最大のキーファクターとなったのか。その背景には、2000年代から続く世界各国の熱量の高いファンコミュニティの蓄積と、2020年代以降にそれを産業的な基盤として整備したエコシステムの構築がある。
2021年、ソニーがアニメ配信サービス「クランチロール」を買収したことは、そのターニングポイントの象徴だ。クランチロールは世界200カ国に配信網を持つアニメ専門のプラットフォームだ。
機能としてはNetflixやAmazon Prime Videoなどと同じ月額制の映像配信サービスである。しかしその成り立ちや思想は全く異なる。クランチロールの企業理念には「アニメのファンダムのコミュニティを育てていく」という思想が深く根付いている。創業者もコアなアニメファンだ。







