一応パーツは付けているが…
法令遵守を装う「違法車両」の実態

 違法車両の実態について、一般社団法人 訪日外国人安全運転支援機構(※)の松島隆太郎代表は次のように明かす。

(※)公道カートの安全実態調査・違法営業摘発支援・旅行会社への注意喚起を行う専門機関。

「保安基準が大幅に改正されてから5年以上が経過しましたが、相変わらず違反カートは多く確認されています。特に保安基準改正(2020年)の前から営業している事業者は、古い基準のカートを使用している例もあり問題です」(松島代表、以下同)

 松島代表によると、保安基準違反で目立つのは、他車両からの視認性を高める「被視認性向上部品」の装着義務違反だ。確かに部品は付いているものの、「メッシュのように透けて見えるパネル状のパーツを装着したカートが多く、他車両のヘッドライトの光が反射しにくいため危険です」という。

「さらに、保安基準で禁止されているレース用の『フルハーネス4点式シートベルト』を付けているカートもあります(※)。一方で、業者側は保安基準を満たしたシートベルトを設置しているのに、ドライバーがベルト無しで運転している例も数多く確認されています」

(※)4点式シートベルトは身体がシートに完全に固定され、緊急時の自由が制限されることなどから、公道走行には不適合とされる。

 このほか、「自転車用の電池式尾灯を取り付けることで、尾灯に関する基準違反をごまかしている例も少なくありません」と松島代表は語る。

 こうした状況を踏まえ、警察や国交省、東京都議会、渋谷区議会などは、公道カートの装備面だけでなく運用面についての規制強化に動いてきた。その一環で、2024年11月には、観光庁が国内の旅行業者団体(JATA・ANTA)に異例の通達を行った。

 旅行業者が訪日客に対し、違法な公道カート事業者が手掛けるツアーをあっせんすることは、旅行業法違反に該当するため処分対象になるという重い内容だ。

「公道カート」を乗り回す外国人が再び増加…無免許運転、違法車両のキケンな実態とは?観光庁による通達 出典:観光庁
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 また、東京都渋谷区は2025年7月、独自の公道カート規制をスタートさせ、新規の事業所に下記のような対応を求めた。任意協力なので罰則はないが、全国初の自治体独自の条例による取り組みとして注目されている。

・事業所開設30日前までの区への届け出(所在地、営業時間、走行台数、ルート、ナンバープレートなど)
・近隣住民(事業所周囲50m以内)への事業説明会の開催と報告
・安全誓約書提出(免許確認、車両保険、苦情窓口設置など)

 だが、こうした呼びかけを無視し、違法カートを訪日客に貸し出す業者が多いことは想像に難くない。悪質な業者と規制強化の“いたちごっこ”はいつまで続くのか――。