「妻の死亡時に55歳以上であること」
という条件を満たしていなかった
光一さんが「夫(男性)」であり、厚生年金保険法が定める支給要件のうち、遺族厚生年金を受け取るために必要な「妻の死亡時に55歳以上であること」という条件を満たしていなかったからです。
生前の歩美さんの収入は光一さんより多く、一家の大黒柱として働いていたため、遺族年金が受け取れないことで家計には大きな打撃となりました。
光一さんの事例では子どもがすでに18歳の年度末を超えていたため、「遺族基礎年金」も支給対象とはなりませんでした。遺族基礎年金の条件は「子のある配偶者」または「子」が対象であり、子の年齢は「18歳年度末まで」とされています。
今回光一さんの2人の子はそれぞれ18歳年度末という要件の年齢を越えていたため、遺族基礎年金ももらえませんでした。
遺族年金制度の穴に苦しめられている人は決して少なくなかったこともあり、今後見直しが行われることになっています。
2028年からの遺族年金制度
年齢制限撤廃されるが…
これまで、夫が先に死亡した場合に妻が受け取る年金総額は、妻が死亡した場合に夫が受け取れる額と比較すると大きな乖離があります。この格差は、1960年代の「男性が稼ぎ主、女性は専業主婦」という古い社会モデルを前提に制度が作られていたためです。
こうした不条理を解消するため、2025年に改正法が成立しました。2028年4月から段階的に施行される予定です。主な変更点は以下です。
1. 厚生年金における「55歳の壁」が撤廃される
最大の変更点は、遺族厚生年金における男女の受給権発生条件が統一されることです。これまで夫が受給するために必要だった「妻の死亡時に55歳以上」という年齢制限がなくなり、夫も年齢にかかわらず受給資格を得られるようになります。
2. 有期給付にも変更点
遺族年金制度は「一生涯の保障」から「自立支援」へとかじを切ります。これまでは「30歳未満で子のいない妻」のみが5年間の有期給付(5年経ったら支給終了)でしたが、改正後は「子のいない60歳未満の遺族(男女とも)」が原則として5年間の有期給付となります。
急激な変化を避けるため、女性については2028年度末時点で40歳未満の方から対象となり、20年かけて段階的に引き上げられる経過措置が取られる予定です。
3. 「労災保険」も変更へ
厚生年金と同様、「労災保険(遺族補償年金)」についても「夫への年齢制限(55歳以上)」が規定されています。もっとも、こちらについても2026年4月に改正案が閣議決定され、2027年4月から年齢要件が撤廃される予定です。
4.加算額と収入要件の見直し
以前は第3子以降の加算額は低く抑えられていましたが、改正により第1子から第3子以降まで人数にかかわらず一律同額となります。また、850万円の収入要件は撤廃されます。







