男性の場合、施行後すぐに
5年有期が適用されるので注意

 思わぬ落とし穴が待ち受けている遺族年金制度。では、不支給のような事態に備えて共働き夫婦はどのように備えておくべきでしょうか。社会保険労務士でもある古田雄哉弁護士にお聞きしました。

「えっ、あんなに働いて遺族年金ゼロ?」48歳妻の急逝で判明…年金ルールの〈意外な落とし穴〉古田 雄哉(ふるた・ゆうや)/One Asia法律事務所 大阪オフィス パートナー弁護士。社会保険労務士。 立命館大学法科大学院修了後、兵庫県内の法律事務所、同事務所の支店長職を経て現職。交通事故や労災等の損害賠償訴訟、および中小企業の労務管理・紛争予防や国際相続を専門とする。弁護士と社労士のダブルライセンスを活かし、労働環境の整備から訴訟対応までワンストップで支援。共著に『南アジアの法律実務』『問題不動産 対応マニュアル』などがある。

――今回の改正によって、光一さんのようなケースは救われるようになるのでしょうか?

 2028年以降であれば、厚生年金については夫も受給権を得られるようになります。また、労災についても2027年4月以降は年齢制限が撤廃される予定であり、本件のようなケースでもカバーされることになる予定です。

――改正後も「5年の有期年金」になるケースがあるのはなぜですか?

 今後の制度は「遺族の自立支援」に重きを置くため、共働きで若く、子のいない世帯については、長期の保障ではなく5年間の「一時的なサポート」に切り替わります。つまり、「入り口(受給資格)」は男女平等になりますが、「出口(受給期間)」は短くなるのです。

 有期給付の加算という仕組みも設けられ、要件を満たせば継続給付という仕組みも用意されていますが、特に男性の場合、施行後すぐに5年有期が適用されるため、何かあった場合に老後までの長い期間を遺族年金だけで賄うことはできない、という前提でいざという時の心構えを考える必要があります。

――共働き夫婦が遺族年金制度に左右されないように、やっておくべき対策はありますか?

 妻の収入への依存度が高い世帯は、妻名義で月々定額が支払われる「収入保障保険」等に加入し、公的年金の不足分を自前でカバーしておくなどといった対策が考えられます。

 また、配偶者が亡くなったときに備えて、しっかりと資産を形成していくことも大切です。公的年金を頼りっきりにするのではなく、iDeCoや新NISAの活用など、広い視点でいざという時も踏まえた上で、老後について計画をすることが大切です。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

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