父をコレラで亡くし…悲痛な体験談にベテラン看護婦が放った「ハラスメント発言」〈風、薫る第28回〉

バーンズ先生、いまならモラハラ教師?

 不必要に患者に近づくりんをバーンズ先生(エマ・ハワード)がじっと「観察」していて、家族をコロリ(コレラ)で亡くしているだろうと指摘。さすが観察眼が鋭い。

 ざーっと雨が降り出す。空は明るい。これが天泣。

 りんは、あのときのことを話し出す。この経験があるから、誰も見捨てたくなくて、看護の仕事を目指していまがある。

 ここはりんに同情的な流れになるパターン。ところが、違っていた。

 バーンズ先生はりんの態度を「恥ずかしい」と一刀両断。

「あなたは今、大勢の人を見捨てたのと同じです」と言うのだ。

 主人公の感動譚のパターンではなく、先生の理解しがたい言動のパターンであった。

 何もわからない自分に手取り足取り教えてほしい。けれど、バーンズのやり方はそうではない、見て学べ、というものであることはこれまでの授業でりんはわかっている。わかっているけれど、ただ否定されるのは、しんどい。それも、父との悲しい思い出を否定されて「大勢の人を見捨てた」などと悪く言われたら、抱えきれないだろう。

 少し、話がドラマから逸れるが、令和のいまなら、バーンズの教育はハラスメントに値するだろう。さしずめモラハラ? いくら目的があって、いわゆる愛の鞭(むち)だったといっても、いたずらに相手を混乱させるような言動は令和のいまなら許容されない。

 手取り足取り懇切丁寧に教えなくても、わざと本心を隠したり、逆説的な言葉を使って相手をいたずらに傷つけたりするようなことはゆるされない時代が来て、ほんとうによかったと思う。

 だが、ドラマ的には、どうだろう。ここでバーンズ先生が、正攻法で教育したら、話が進むが、葛藤がなく面白みがなくなる。物語づくりも大変である。

 松井(玄里)は校長(伊勢志摩)に、バーンズ先生の指導の仕方がもう少しなんとかならないかと相談するが、校長はのほほんとしている。