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中東諸国の多くは一夫多妻制も含め、男女の役割が大きく異なる社会である。盟主であるサウジアラビアでは、女性による自動車運転は2018年まで禁止されていた。こうした制度は不自由で不平等だと見られがちだが、当事者である女性たちの受け止め方は、必ずしもそう単純ではない。現地調査を通じて見えてきたのは、そうした前提そのものを揺さぶる現実だった。※本稿は、イスラーム研究者の池内 恵編著『「世界を動かす宗教」講義』(PHP研究所)のうち、上智大学教授で中東のジェンダーを研究する辻上奈美江氏による執筆部分の一部を抜粋・編集したものです。
「男女は同じではない」
イスラームはそう考える
イスラーム法を意味する「シャリーア」がカヴァーする範囲は広い。ムスリム(イスラーム教徒)の宗教的生活はもちろんのこと、現世的な生活の規範を具体的に定めてもいる。現世的な生活の規範には、婚姻、離婚、親子関係、相続、奴隷と自由人、契約、売買、誓言・証言、寄進、訴訟や裁判などが含まれる。
とくに、婚姻、離婚、親子関係、相続については、20世紀になって列強諸国から独立し近代国家を形成する際、複数の国家で、身分関係法、あるいは家族法と呼ばれる法律として編纂され、制定された。
オスマン帝国の崩壊後に建国されたトルコ共和国は、スイスの民法典に倣い、一夫多妻や男性による専権的離婚権を禁じた。また1956年にフランスから独立したチュニジアは、シャリーアに基づいて家族法を制定したものの、トルコと同様に、一夫多妻と夫の専権的離婚権を禁じている。







