酔いどれ姿が魅力的…映画賞総ナメ!期待の若手・林裕太の演技に舌を巻く〈風、薫る第33回〉

りんは「ごうつくばり」?

 最後までりんに冷たかった園部。実は警察署長だった。悪人を取り締まる側の人がそんなに意地悪なんて理不尽だ。でもそれが世間の目ということなのだと7人は考えるが、園部も権力者側なのだ。いかにも亭主関白な感じで奥さんらしき人が後ろからかしづいていた。

 バーンズ先生(エマ・ハワード)は第32回で、園部のような患者はりんにとっていい患者だと言っていた。最初にぴしゃりと苦い経験を味わうことがいい経験ということなのだろうか。

 バーンズ先生はまったくブレない。りんが「私の力不足です」「悔しいです」「会話すらまともにできなくて」などと反省していると、「ごうつくばりですね」と一刀両断。

「ごうつくばり」(欲深い)とは、日本語初心者にしてはよくそんな言葉を知っているなあ。

 バーンズは患者から感謝を求めることは自己満足に過ぎないと指摘するのだ。

 りんは患者からの感謝を欲しがっている。それは欲深いことだとバーンズ先生。

「看護は見返りを求めてするものではありません」
「たとえののしられようとも、患者が回復すればそれでいいのです」

 看護とは何か? それは利他的なもの。またまた正論を聞かされてぐうの音も出ないりんに、その夜、直美(上坂樹里)はこんなことを言う。

「丸山さん(若林時英)が言ってたけど、園部さん、こっそり自分で花瓶の水替えてたらしいよ。足引きずって」

 それだけ言って去っていく直美。胸の高鳴りのようにきれいな音楽が鳴り始める。

 りんは紙飛行機を折って「1トンビじゃ足んない」とつぶやく。うれしさが1トンビ以上。

 宿舎の庭には赤い花が咲いている。1話完結の医療ドラマだとすれば、いいエピソードだった。

 そのうちもしも警察沙汰があったら、園部が再登場してきっと助けてくれそう。

 見習い7人は、あれこれ話しながら、小さく小分けした皮付きリンゴを食べていた。医者いらずの果物であり、キリスト教では禁断の果実。これまでの日本の医療の常識に立ち向かっていく同志がリンゴを食べて、結束を誓っているように見えた。