シマケンの苦しみ

 りんが紙飛行機を飛ばしているとき、シマケン(佐野晶哉)も部屋で紙飛行機を大量に飛ばしていた。

 こちらの紙飛行機は喜びの表れではないようだ。

 第32回でシマケンは奮起したようで、小説を書きはじめた。でもなかなか思うように書けず、書いては消してを繰り返している。そこへ友人の槇村(林裕太)がやってきた。彼は出来のいい小説をすでに書いている。「九十九折(つづらおり)」「つづれおり」というやりとりがほのぼのしていた。

「俺の文学は高度だからお前には分からないんだよ」とプライドだけは高いシマケン。まあ近い友人が先に活躍してしまうと焦るのは仕方ない。

 そして今日第33回。また槇村がやってきた。お酒の入った徳利を持って。

「國友」という雑誌に、近頃、世間で評判の文芸同人誌「黎明」に掲載された槙村の「つづれおり」なる小説を読んだ、という評論が掲載され「楽しみな作家である」と褒められていた。槇村はそれがうれしくて祝杯をあげようとしているが、シマケンは祝う気分ではない。

 茶わんに酒をついで飲む槇村。酔った口調が巧みな林裕太。所属事務所のプロフィールには、第30回釜山国際映画祭 最優秀俳優賞、第47回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞、第38回日刊スポーツ映画大賞 新人賞、第80回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞、第35回日本批評家大賞新人男優賞とたくさんの賞を受賞している期待の若手俳優だ。この賞の大半は、映画『愚か者の身分』の演技によるもの。この映画でも林はちょっと酔ってご機嫌になっている演技をしている。

 シマケン「連載の話はどうなった?」
 槙村「別な面白いものが書けたら、載せてくれるってよ」
 シマケン「頑張れよ!」
 槙村「お前こそ、新聞連載の編集部に原稿もち込めばいいじゃないか。同じ新聞社なんだから。なんでトライしないんだよ?」

 女性同士の歯に衣着せない会話と比べて、男性同士は一見ズケズケしているが、どこか気を使っている(歯に衣着せてる)感じがする。男性のほうがデリケートなのかもしれない。というか、目標が具体化すればするほど苦しみが大きくなり、それがお互い痛いほどわかるから気遣い合うんじゃないだろうか。

酔いどれ姿が魅力的…映画賞総ナメ!期待の若手・林裕太の演技に舌を巻く〈風、薫る第33回〉
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