参院選が最終盤を迎えている。盛り上がっているのは政党や候補の周辺だけで依然として選挙戦は低調なままである。

 もしもこの選挙がメディアの予想通り、自公与党の圧勝に終われば、向こう3年間は国政選挙がないとほぼ断定できる。唯一の可能性は、憲法違反状態を解消するための早期の衆院解散・総選挙だが、今の政治にそんな高度の道義を期待しても無理であろう。

 かねてから私は本欄で「この3、4年は日本の将来にとって運命的な時期」と言ってきたが、どうやら現状の政治のままこの重大な局面を乗り越えなければならないようだ。こうなった一義的責任は、消費税増税実現の功名心に酔って違憲選挙を断行した民主党政権にあることは言うまでもない。

 このまま3年間も、今の政治の流れに身を任せてしまうのか。多くの重要課題が、これから民意を問う機会もなく決められて行くのか。

 もしも有権者が今強くそう感じるなら、最終盤の3日間に選挙情勢が大きく動く可能性が残されている。

最後の波を起こすかもしれない
原発、TPP、格差問題

 最後の大きな波が起きるとすれば、①原発、②TPP、③格差の3つによるものであろう。

 報道機関の調査では、自民党と共産党の躍進が際立っている。産経新聞の調査では、自民党が70議席に迫り、共産党は10議席に迫っている。おそらく共産党は、原発、TPP、格差に的をしぼった戦略が奏功しているのではないか。

 特に、原発とTPPは、最終盤に大きな渦となる可能性がある。単に共産党主導の渦ではなく、さまざまな渦も起きてもっと大きく、もっと広く、そしてもっと強くなるかもしれない。

 もちろん格差問題も底流で水量を増すだろう。だが、それは組織化されていないために大きく表面には出ない。ただ投票行動にはかなりの影響を及ぼすことになろう。