車両のサスペンション部品を整備するハビエル・シガロアさんノースカロライナ州ホリースプリングスのクリスチャン・ブラザーズ・オートモーティブで、車両のサスペンション部品を整備するハビエル・シガロアさん

 米国で配管工や電気工事士といった需要の高い仕事を目指して職業訓練校に進む若者が増える一方、彼らは予想外の状況に直面している。高額な学費だ。

 大学の学位の価値に対する懐疑論が広がる中、ブルーカラー分野のトレーニングへの需要が急増している。ソーシャルメディアでは、ブルーカラーのキャリアの魅力を訴える動画が再生回数を伸ばし、「#nodebtneeded」(借金不要)といったハッシュタグを生み出している。

 しかしコミュニティーカレッジ(公立短大)や労働組合の見習いといった無料または低コストのプログラムが定員に達するにつれ、授業料が数万ドルに上ることもある高額な民間の職業訓練校に流れる学生が増えている。学費に関する教育省のデータによると、例えばニュージャージー州の9カ月間の美容プログラムは1万7000ドル(約270万円)、フロリダ州の1年2カ月間の航空機整備プログラムは4万ドルかかる。

 一部の学生にとって、こうした費用は大きな負担となり得る。シェイヒア・ウィリアムズさん(26)は法律の道に進もうとしていたが、学費を払えなくなり大学を中退した。技能職の仕事ならもっと良い道が開けるかもしれないと考えた。借金が少なく、自分が得意なことをできる仕事だと思ったのだ。

 ウィリアムズさんは2024年に地元の職業訓練校の2年制コースに入学し、暖房・換気・空調(HVAC)技術者を目指した。2万5000ドルの費用を賄うために奨学金や祖母からの援助があったものの、1年後には学費を払い続けることができなくなった。授業料に1万3000ドルを費やした末に中退した。

「あれだけのお金があれば車を買えたし、小さな事業を始めることだってできたはずだ」とウィリアムズさんは語った。

 コミュニティーカレッジや労組のプログラムは、熟練職を目指す人々に対してより安価な、あるいは無料の訓練を提供している。だが多くの機関には申し込みが殺到している。例えばフィラデルフィアでは今年、地元の蒸気配管工組合の見習いプログラムで、定員85人に対して609人の応募があった。