第2位:職場での境界線
続いて2番目は、職場での境界線です。職場には労働契約があり、お金をもらって業務をしているため、やりたくない仕事をすべて断るわけにはいきません。
しかし、自分の本来の仕事ではない部分については別です。例えば、「これから用事があって抜けられないから、これをお願いできない?」と仕事を頼まれ、モヤモヤしながらも引き受けてしまう「いい人」がよくいます。これも、「すみません、できません」と断ってしまっていいのです。一度断れば、相手は二度とあなたに頼んでこないでしょう。都合よく引き受けてくれそうな人を見つけるのが上手な人もいるので、注意が必要です。
私自身も若い頃、職場で先輩が困っているのを見て当直を代わってあげたことがあります。お互いに都合の悪い日を交換するつもりだったのですが、先輩はいつまで経っても「この日代わるよ」とは言ってくれませんでした。結局、いくら先輩からの頼みでも、本来自分がやるべきでないことは断っていいのだと学びました。
また、上司から「いっぱいいっぱいだと思うけど、これできる?」と聞かれたとき、「信用されているから」と無理に引き受けてしまうのも考えものです。評価は上がるかもしれませんが、本当に余裕がないなら、きりなく仕事を振られることになります。他人の起こした顧客トラブルを押し付けられそうになったときなども、「それは難しいです」と境界線を引いていいのです。
理不尽なことをすべて引き受けていると、いずれ職場が嫌になって辞めたくなってしまいます。できないものはできない、自分の問題ではないものは引き受けない、という認識を持つことが大切です。友人関係よりは少しハードルが上がるため、第2位としました。
第1位:家庭・身内での境界線
そして第1位は、家庭や身内に対して「いい人をやめる」という境界線です。これが一番難しい理由は、相手が身内だからです。パートナーや子どもなど、身近な家族であっても、自分と他人の境界線は存在します。この境界線をしっかり保つことは、お互いのためでもあります。
境界線は、自分のストレスを減らすためだけでなく、お互いが自立して自分の人生を生きていくために必要なものです。境界線が曖昧な人は、自分の問題を自分で解決できず、依存的になったり、常にトラブルを抱えたりする人間になってしまいます。
例えば家庭内で、自分が家事や育児を負担するのが当たり前になり、相手から「ありがとう」も言われなくなっているのなら、それは良くありません。「私は私、あなたはあなた」ときちんと線引きをして話し合うべきです。言いにくくても、「これをやったら、これをお願いね」と伝えなければ、相手は気づきません。どうしても聞いてくれないなら、自分のゴミだけ捨てて、相手の分のゴミは相手の部屋の前に置いておくくらいのことをしないと、わからない人もいます。
また、子どもに対しても同様です。親心から、毎朝子どもを起こしてあげている方もいるでしょう。しかし、「お母さん、明日起こして」が常態化してしまうと、子どもはいつまで経っても自分で起きられなくなります。「自分で起きられるようになりなさい。それはあなたの用事だから」と突き放すことも、時には大切です。
子どもであれパートナーであれ、「私の問題」と「あなたの問題」はきちんと線引きをしましょう。同居していて感情も入るため一番ハードルが高いですが、どうでもいいことや、本人でなんとかなりそうなことに関しては、身内であっても「それはあなたの問題だよ」と示すことが非常に重要です。
まとめ:境界線を守り、人間関係のストレスを減らそう
今日は、「自分を大切にするための3つの境界線」として、以下の3つのパターンをお伝えしました。
➋ 職場環境での境界線
➌ 家庭・身内での境界線
境界線を引くことは少し勇気がいるかもしれませんが、境界線をしっかりと守り、「それ以上は踏み込まない」「相手にも踏み込ませない」という線引きをすることは、必ずあなたの人間関係の改善と、ストレスの軽減に役立ちます。ぜひ、今日から少し意識してみてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。




