新しいことのための時間と手間を確保するために、まずはやめるべきことを見つけて終わらせるべきなのです。

 私が企業で講演させていただく際も、十中八九、「ただでさえ忙しい我々(中間管理職)に組織開発だかなんだか知らないが、いま以上に新しいことができるはずがない」と言われます。ですが、そりゃあ形骸化した目標管理シートを書くのに3時間も4時間も費やしたり、形ばかりの1on1にメンバーの人数分の長い時間を割いたりしていては、永遠にできないでしょう。

 だからこそ、形式ばって中身のないものをやめる、もしくは簡素化や変更をする手立ては必ずありますよね?とお話しします。

 そうやって浮いた時間で、もっと意味のあることをやっていきましょうよ、という提案です。誰かが下した「評価」を絶対視してそれによって相手を決めつけ、ジャッジするのではなく、いま、目の前にいる相手をできるだけまっすぐに見て向き合っていく。

 そのためにはもちろん、個々人の心がけだけでなく、組織が率先して変わっていくことも大切です。

ジョブ型に移行し始めた
大企業が増えてきた

 すでに国内の企業では少しずつ変化が始まっています。大手企業の中でも数社は仕事内容を示した上で採用するジョブ型雇用に舵を切り始めています。

 たとえば、三菱ケミカルは2020年から管理職向けのジョブ型雇用を導入。翌2021年には職務成果を基準にボーナス・報酬制度の改定、年功序列の廃止、キャリア形成支援として上司との面談を強化するなどいち早く動き出しました。

 同じく富士通も2020年から幹部にジョブ型雇用を導入後、ジョブ型人材マネジメントに基づき、全職層への制度展開を進め、2026年度からは部門と職種を決めた上での採用活動を行なうことを発表しています。

「通知表」を廃止した小学校で起きた驚きの変化。会社員も苦しむ“一元的な評価”の〈大きすぎる代償〉『「頭がいい」とは何か』(勅使川原真衣、祥伝社)

 ほかにも、リコー、ENEOS、レゾナック・ホールディングスなどが役職や部門職からジョブ型雇用を採用。ユニクロでおなじみのファーストリテイリングや星野リゾートは新卒一括採用をやめ、企業と個人の相性を重視する採用方針に切り替えています。

 ジョブ型採用の拡大やマッチング重視などの動きは、今後は中小企業にもさらに広がっていくでしょう。これまでは、ポテンシャル込みの曖昧な「頭のよさ」に重きを置かれていた採用基準が、軸がいくつにも多様化してきた、とも言えます。

「採用/評価」する側である企業のこのような近年の変化は、素直に喜ばしいことでしょう。