
就活や転職の際に学歴で判断されることを「学歴フィルター」というが、大学でどれだけ学んだかよりも、どの大学に入ったかのほうが、就職やその後のキャリアにおいては重要なのだろうか。大学での学びと所得やキャリアの関係性を解説する。※本稿は、濱中淳子『大学でどう学ぶか』(ちくまプリマー新書、筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
「学歴」で評価される世の中で
大学で学ぶことに意味はある?
大学入学以降にどのように学び、時間をどう使うかによって、卒業時に到達できる状況は変わる。大事にすべきキーワードは〈アウェイの世界に飛び込む〉と〈教員を活用する〉の2つ。これがここまで述べてきた内容の要点です。
ただ、この話をすると、しばしば次の質問が投げかけられますー「大学で学ぼうとそうでなかろうと、どの大学に入ったかのほうが、就職やその後のキャリアにおいて重要なのではないですか?」。
そもそも学歴については「タテの学歴」と「ヨコの学歴」の2つを設定することができます。
「タテの学歴」とは、高卒、短大卒、学部卒、修士卒、博士卒といったように、どの程度の教育年数を経験しているかを意味し、通常、「学歴」といえばこちらを指します。
他方で「ヨコの学歴」は、○○大学△△学部卒といったように、進学先の選抜性の程度を含むものです。この「ヨコの学歴」を「学歴」と区別し、「学校歴」と表現しておきましょう。
ここで先の質問に戻ると、「大学受験の結果である学校歴で評価される世の中なのだから、大学での学びに意味はないのではないか」という主張だと言い換えることができるでしょう。
では、実際に学校歴の効果はどの程度あるのでしょうか。この問題については、経済学者の橘木俊詔さんと八木匡さんによる研究成果を紹介したいと思います。