日本呼吸器学会専門医・指導医の大谷義夫医師(池袋大谷クリニック院長)
高温多湿のこの時期は、室内にカビが生えやすい。浮遊したそのカビを吸い込むことで肺炎になり、時に命を脅かすことがあるという。カビといってもいろいろあるが、肺炎の原因になるカビの正体は何か。日本呼吸器学会専門医・指導医の大谷義夫医師(池袋大谷クリニック院長)に聞いた。(ジャーナリスト 笹井恵里子)
カビを吸い込むと
肺に炎症が起きる危険
蒸し暑くなってくる梅雨から夏にかけて生えやすいカビに、「トリコスポロン」という種類のものがある。このカビを吸い込むことで肺に炎症が起きる危険性があるという。
日本呼吸器学会専門医・指導医の大谷義夫医師(池袋大谷クリニック院長)は「カビは気温20℃以上、湿度60%以上になると繁殖する」と述べ、こう解説する。
「カビを吸い込むことによるアレルギー反応で肺が炎症を起こし、微熱、せきやタンなどの症状が出てきます。アレルギー性肺炎の一種で『夏型過敏性肺炎』と言いますが、症状からは夏かぜと間違えやすいのです。また医療機関を受診しても、ぜんそくやマイコプラズマ肺炎などと診断され、治療をしたものの良くならないということもあり得るでしょう」
呼吸器内科医が診察して聴診、血液検査、エックス線検査などで夏型過敏性肺炎を疑うと、CT検査およびアレルギーの原因(抗原)がトリコスポロンかを特定するための血液検査(抗体検査)を行う。
「そしてトリコスポロンによる夏型過敏性肺炎を疑った場合、原因がある家から離れてもらう必要があるため入院してもらいます。すると症状が落ち着く、というのが典型的なパターンです」
夏が終わり、寒くなって室内が乾燥してくればカビの活動は休止するため、いったん自然に良くなる可能性もある。が、環境が整えば再びカビが繁殖し、またアレルギー反応による肺の炎症が起きて、次第に症状は悪化していく。
「冬になると落ち着き、しかし翌年になって症状が再発して……というのを繰り返していくと、肺が徐々に硬くなって線維化し、慢性化するにつれてせきと呼吸困難が増悪し、命に関わるリスクが出てきます」
さてその肺炎の原因となるトリコスポロンとは、どのようなものだろうか。







