脱衣所、カーペットの裏などに
白いカビがたくさん生えていた
2019年ごろ、ある地方都市からはるばる池袋大谷クリニックに来院した60歳男性患者は、他院で間質性肺炎と診断されていたものの原因がわからなかったという。
「そこで当院でトリコスポロンの抗体検査を行うと陽性。私は休日に、その患者さんの家まで調査に行きました。昔ながらの立派な木造家屋でしたが、過去には豪雨で床下浸水もあったそうですから、至るところに腐木があったのでしょう。脱衣所、カーペットの裏など白いカビがたくさん生えていました」
「その患者さんは入院していただくと、容体が落ち着いたのですが、どうしても帰りたいという希望から家に戻られました。すると、それからしばらくして亡くなってしまったのです。原因が特定できたら、室内からそれを排除することが非常に重要なのです」
「築20年以上の木造住居」
「1~3階の低層に住む人」に起きやすい
木を好むトリコスポロンの特性から、夏型過敏性肺炎の発症は「築20年以上の木造住居」に住む人に起きやすい。「マンションであれば1~3階の低層に住む人の報告が多く、6階以上に住む人の発症はあまり聞きません」と大谷医師が補足する。低層階の室内のほうが湿度が高いからかもしれない。
また恐ろしいことに、自宅内のどこかでトリコスポロンが生えた場合、小さなカビの胞子は家中を浮遊する。きちんと根源を断たないと、家のどこにいても発症の危険があるのだ。
「東京近郊のあるご家庭では、家族4人全員がぜんそくと言われ、治療したものの良くならず当院を受診しました。エックス線検査で過敏性肺炎を疑い、CT検査で典型的な症例だと思ったところ、やはりトリコスポロンの抗体検査は陽性、夏型過敏性肺炎でした。自宅調査では脱衣所の一部にカビが生えていました」
家族4人の中で最も重症だったのは妻。在宅時間が長かったのかもしれない、と大谷医師は推察する。
「そのため奥様には入院していただき、その間に脱衣所のリフォームをお願いしました。家族全員が慢性化していなかったので、リフォーム後は無事回復しました」
この家は脱衣所の一部だったからまだいいものの、トリコスポロンが室内に広範囲で増殖すれば、夏型過敏性肺炎が重症化、慢性化する危険がある。そのため時に家を大改装、もしくは引越しを余儀なくされる人もいるという。







