脱衣所から浴室につながる
ドアの枠が木製だと危ない

 トリコスポロンは浴室の黒カビなどとは異なり、白や黄色っぽい色で「腐木」を好むという。圧倒的に出現が多いのは脱衣所。

「特に脱衣所から浴室につながるドアの枠が木製の場合が危ない。そこが朽ちてしまってトリコスポロンが生えた家は、実際に何件も見たことがあります」と大谷医師。

「また脱衣所に洗濯機を置いていて、その台が木でできていると、やはり生えやすいですね。台所のシンクの下、畳やカーペットの裏などの湿度が高い場所も要注意です。自宅調査では畳の上にカーペットを敷いていたら、必ずひっくり返します」

 実は大谷医師、治療を続けても検査数値が改善されなかったり、肺炎の原因がわからない場合などに、患者の家を調査することがある。これを“自宅調査”と呼んでいる。

特発性肺線維症は発症後
3~5年で亡くなってしまう

「肺胞の壁に炎症が起こる『間質性肺炎』は、薬の副作用による薬剤性肺炎やアスベスト吸入、膠原病などの原因によって分類されますが、中には原因が不明とされるものがあります。そして原因が特定できない間質性肺炎の代表格である特発性肺線維症は、発症してから平均して3~5年で亡くなってしまいます」

「ですが詳しく調べると、カビなどの抗原を吸い込むことによるアレルギー反応で肺炎(過敏性肺炎/過敏性肺炎はトリコスポロンが原因の夏型過敏性肺炎、トリコスポロン以外の自宅関連のカビによる住居関連過敏性肺炎、鳥のフンや羽毛による鳥関連過敏性肺炎など)が起きているケースが少なくありません」

「原因が特定できれば、それを避けることで症状改善につながります。何とか患者さんを助けたいという思いから自宅調査を始めました」

 コロナ禍より以前、筆者もその自宅調査に同行させてもらったが、治療への熱心さに頭が下がる思いだった。

 大谷医師が過去の自宅調査の事例を振り返る。