そもそもが、ラジオの生放送中。次のコーナーも始まってしまうので、「申し訳ない!何の番組でしたっけ?」と早々に白旗をあげ、サッサと答えを知ろうとする筆者に、

「ほら、『リンカーン』で!」

 と店主が語り出したのは、今はなき人気バラエティ番組で、料理自慢の芸人たちが、オリジナルラーメンを披露する企画だった。

 確かに、筆者もその番組には呼んでいただいたことはあったし、言われてみれば、芸人たちの調理をサポートする職人の方々の姿が頭に浮かんでくる。

 とはいえ、既に10年以上昔の話。今ひとつ記憶にピントが合わない。

(まあ、時間もないし、適当にあしらうか……)

 と諦めかけた次の瞬間、

「僕、男爵さんの担当で!あのときは大変でしたねー」

 と遠い目をした店主の言葉が引き金となったか、

「あーーーー!はいはいはい!!」

 と突如、目の前の男性と共に、赤坂のスタジオで1杯の丼と格闘した光景が脳裏に溢れ出した。

 思わぬ再会。押し寄せた感情の波に飲み込まれ、

「近いうちにお店の方、寄らせてもらいますねー!」

 とガラにもなく固く約束を交わし、彼と別れた。

当時の収録内容を
ネットで検索してみると……

 その後、どんな収録だったかなぁと、

「リンカーン 山田ルイ53世」「リンカーン ラーメン 髭男爵」

 休憩をスマホイジりに費やしたが、自分の名前も、それらしき画像も一向に登場しない。

 このラーメン企画が開催されたのはたったの2回ほどらしい。見落とすはずもないのだが……と途方に暮れていると、「ケンドーコバヤシ」なる名が目に飛び込んできた。

(……これだ!)

 氏とは、髭、低音ボイスなど似通った点があり、この手の早とちりはこれまでにも経験済み。何しろ、長女が幼少期、テレビに出ている氏を見て、「パパだー!」と間違えたくらいである。

 とにかく、かの店主が手伝ったのは、しがない一発屋ではなく、先輩売れっ子芸人だったのは確実となった。