また、この際には、話す場所を変えるのも有効です。

 会議室に呼び出すとか、近くのカフェに一緒に行くとか、普段とは違う環境に連れて行くと、相手は「何か違う」と感じます。

 相手の聞くモードを変えさせることで、仮に相手が「怖い」と感じたとしても、「人として常に怖い」のではなく、「この場・この話だけ怖い」というふうに受け止めやすくなります。

厳しさを正しく伝えるポイント(3)
「気持ちは分かる」を論理でサンドイッチ!

 最後のテクニックが、「相手に寄り添う」ことです。

 話の冒頭に、「あなたの言い分もあると思うけど……」「あなたの立場からすれば、また違う見え方もあると思うけれど……」などの言い方でフォローするやり方もあります。

 しかし、どちらかというと、まずは手厳しいことを言った後で

「あなたの意見があれば、ぜひ教えてください」

 と、相手の意見を引き出すほうが良いでしょう。

 引き出した意見・見解に対して

「なるほどね。あなたの気持ちは分かります」

 と感情的に寄り添った上で、

「とはいえ、今回の件は、アクションとしては決定事項なので選択肢はそれしかない」

 と論理的に説得するのが現実的でしょう。

 論理的に情報を伝え、感情面では寄り添いを見せ、論理的に説得するという、「論理」で「感情」をサンドイッチするやり方がオススメです。

 最初に寄り添いを見せると、話全体のトーンが柔らかくなります。それによって、舐められるとか、話を流されるとかいう結果になると、本来の目的が果たせません。

 最初は論理的に“固い”話をし、その上で“柔らかく”受け止めて、最後は“固く”合意する、これを目指しましょう。

立場としての厳しさと
人間的な優しさを併せ持とう

 仕事とプライベートの違いは、「ポジション(立場)」があるかどうか、です。

 学生時代の部活動などでも、部長や副部長などの役割があったと思いますが、そうした「責任ある役職に就く」ことと、「その人が選手として優秀かどうか」とは、必ずしも連動しません。役割を担えるかどうか、が重要になってきます。

 仕事においても、マネジャーとして手腕を期待される人と、プレーヤーとして成果を発揮することを期待される人がいます。これは、どちらが上位ということではありません。単なる役割の違いです。

 優れたマネジャーは、マネジャーというポジションとしての厳しさと、個人の性質としての優しさを併せ持っています。そして、それにより、「舐められないし、嫌われない」理想的な関係をチームメンバーと築くことができるのです。