また、色彩心理学の観点では、紫は女性にとって美意識を強く表す色とされています。上品であり、女性らしさや優雅な美しさといったイメージを連想させ、個性を引き出すことができるからです。

 そして色彩学の視点から見ると、紫はアジア人(黄色人種)の肌を色白に見せる効果もあります。

 もしかすると、淡谷さんの髪型をきっかけに、こうした伝統や魅力が当時の年配女性の間に広まったことが、紫色のヘアスタイルが好まれる一因になったのかもしれません。

年配女性の髪は
実は染めても痛みにくい

 また、筆者は美容室での施術が比較的簡単だったことも、紫ヘアが広まった一因ではないかと推測しています。

 紫に染められたおばあちゃんの髪は、パステルカラーの美しい発色と、シルク生地のように透き通る質感が特徴です。

 美容師の目線では、この発色・質感は白髪だからこそ実現できるものです。

 黒髪の若者が「透き通るような紫」を真似しようとすると、数回のブリーチをした上で染色する必要があるため、膨大な時間と手間がかかります。

 これに対し、白髪という“真っ白なキャンバス”の上に紫色を乗せるのであれば、黒髪の色素に邪魔されることなく、スムーズに発色させることが可能となります。

 また、頭髪全体が白髪になっている場合は、髪の毛を染める際も、実は髪へのダメージがあまり発生しません。

 一般的には「髪を染めると痛む」と思われがちですが、こうしたダメージは、もともと黒かった髪を茶髪や金髪にするために「髪を明るくする染料」を使うことで発生します。

 白髪の場合は、もともと黒い色素が抜けており、髪が明るいため、そうした染料に頼る必要はありません。「紫色の染料」を添加するだけで済み、年配女性の髪や頭皮にも負担がかかりづらいのです。