「部下に電話をかけることはパワハラ?」。令和の電話の使い方とは?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さん。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「部下に電話をかけることはパワハラ?」。令和の電話の使い方とは?Photo: Adobe Stock

「電話=迷惑」という空気

 最近では、「電話は時間泥棒だ」という考え方が広がっています。
 突然の着信は相手の作業を止めるため、チャットやメールよりも嫌がられる場面も増えました。

気づかいの壁』という本でも、次のように語られています。

「電話は時間泥棒だ」という考え方が一般的になりつつあります。
電話が悪者のように捉えられ、その存在は、他の通信手段の後ろに追いやられている感があります。
そういう私も、コミュニケーションツールはSNS中心で、プライベートで電話をすることは、ほぼありません。
ただ、だからこそ、使う機会が減った電話が「最適な場面もある」ということも感じます。
――『気づかいの壁』より

 つまり、重要なのは「電話を使うかどうか」ではなく、「どの場面で使うか」なのです。

文字だけではわからないことがある

 特に、テレワーク環境では、文字情報だけでは把握できないことがあります。

たとえば、テレワーク中のメンバーの様子が気になったときなどです。
何かあったか聞きたいと思ったら、無難にチャットやメールを選ぶ人が多いかもしれません。
ただ、急ぎの業務についてなら何も考えずに文字が打てるのに、ちょっとしたことの確認だと、言葉を選ぶのに時間がかかるのではないでしょうか。
それに、相手からの返信も文字情報ですから、微妙な変化をうかがい知ることまでは困難です。
そうかといって、定期的な1on1ミーティングなどもあるでしょうし、わざわざ面談を提案してしまうと、何ごとかと相手が身構えてしまいます。
まさに、自分の心の壁を越えないといけない瞬間ですね。
――『気づかいの壁』より

 声には、文章ではわからない情報があります。
 元気がない、疲れている、言葉を選んでいる
 そうした微妙な変化は、電話だからこそ伝わります

令和の電話は「予告」が前提

 ただし、ここで重要なのが「かけ方」です。

こういうときは、声だけのコミュニケーションツールである電話を使うのがおすすめです。
ただし、電話をかける際は必ず相手への「予告」が必要です。
チャットやメールで、「少し電話で話したいんだけれど、15時ごろどう?」と、一言伝えてください。
心の準備を相手にさせてあげる、大切な気づかいです。
それでも若い人にとっては、電話はハードルが高いかもしれません。
でも、こう考えることはできないでしょうか。
いまやオンライン会議が当たり前のようになりました。そうすると、むしろ電話は「カメラオフで顔が見えないオンライン会議」と同じです。
このように伝えると、はるかに心の負担が軽く感じられるでしょう。
もし、部下や同僚が一人暮らしなら、1日のうちで会話することが「コンビニでのやりとりだけ」という状況もあるかもしれません。
そこまで考えることができると、予告して電話することも気づかいの1つだとわかるはずです。
――『気づかいの壁』より

 令和の電話は、「突然かけるもの」ではありません。
「事前に合意を取って使うもの」に変わったのです。

大切なのは「手段」ではなく配慮

 電話が悪いわけではありません。
 逆に、チャットが万能なわけでもありません。

 本当に大事なのは、「相手がどう感じるか」を考えて使い分けることです
 急ぎなのか、感情を汲み取りたいのか、雑談レベルなのか。
 それによって最適な手段は変わります。

 そして、電話を使うなら、必ず予告を入れる
 この一手間だけで、相手の心理的負担は大きく減ります。

 コミュニケーションとは、相手の時間と感情をどう扱うかです。
 だからこそ、「連絡手段の選び方」にも気づかいが表れます。

 このように、ちょっとした気づかいのコツを身につけましょう。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。著書に5万部を突破した『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)がある。