三つ目は「着地点のあいまいさ」。「ご検討いただけますと幸いです」のような弱い結びになりがちで、「この条件で飲んでもらわなければ供給できない」というこちらの事情が伝わりません。
AIはカドが立たない無難な文章はつくれますが、「絶対に譲れない一線」に基づいた戦略的調整はできない。だから人間側が「指示の型」を持っておく必要があるのです。
F.G.S.メソッド――事実・目的・条件で構造化する
そこで使えるのが「F.G.S.メソッド」です。F(Fact=事実)、G(Goal=目的)、S(Spice=条件)の3つをAIに渡すだけで、丸投げプロンプトとはまったく違う結果が得られます。
先ほどの値上げ交渉を、F.G.S.で構造化したプロンプトはこうなります。
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[Fact/事実]
原材料(樹脂・金属)や物流費、電気代が高騰し続けている。
社内で生産効率化など限界までコスト削減をやったが、もう吸収できない。
今の価格だと赤字になる。
[Goal/目的]
全商品を一律15%値上げしたい。適用時期は来月1日の発注分から。
「検討してください」ではなく「この条件で飲んでほしい
(飲まないと供給できない)」という合意を取りつける。
[Spice/条件]
「申し訳なさ」は出さない。謝罪するとつけ込まれるため。
値上げは「昨今の世界情勢による不可抗力」であることを論理的に強調。
「安定供給を続けるためには、これが必要なんです」という、
相手にもメリットがある言い回し(パートナーシップ)で。
感情を排した、毅然としたビジネスライクなトーンで。
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