2026年6月12日、イーロン・マスク氏率いる宇宙ベンチャーのスペースXが、IPO(新規株式公開)を実施する見込みだ。想定される時価総額は最大2兆ドル(約317兆円)。実現すれば米国時価総額ランキング上位に躍り出る、史上最大級のIPOとなる。さらに最大約30%が個人投資家枠に配分されるとの観測もあり、日本の投資家にとっても見逃せない一大イベントと言える。そもそもスペースXはどんな企業なのか、IPOのスケジュールはどう動くのか、そしてIPO後に買うべきか、見送るべきか――。米国株のプロ3人に話を聞いた。(今村光博、ダイヤモンド・ザイ編集部)
※株価や業績データは2026年5月16日時点。1ドルは158.5円で計算。IPO時期や想定時価総額、個人投資家向け配分などは取材時点の観測に基づくため、実際の上場時期や条件は変更される可能性がある。
もはや「ロケットの会社」ではない!
宇宙・AI・通信の融合企業へ大変貌
Photo:SpaceX
史上最大級のIPOが、いよいよ目前に迫っている。2026年6月12日に上場が予定されているのが、宇宙ベンチャーのスペースXだ。同社は2002年、イーロン・マスク氏の手によって産声を上げた。マスク氏が電子決済大手ペイパルの売却で得た資金を元手にロケット開発に着手したのが始まりだ、初期には何度も失敗を重ねている。しかし、2010年、ついに再利用型ロケット「ファルコン9」の打ち上げに成功。そこからの快進撃はすさまじく、今では世界のロケット打ち上げ市場で圧倒的な存在感を持つ巨大企業へと上り詰めた。
ただし2026年現在、スペースXをただの「ロケット会社」と呼ぶのは、もはや実態に合わなくなりつつある。ニューヨーク在住で、マンハッタン・グローバル・フィナンシャルCEOの森崇さんは、こう解説する。
「大きな転機のひとつが、マスク氏が率いるAI企業『xAI(エックス・エーアイ)』をスペースXの完全子会社にしたことです。これによりスペースXは、ロケット、衛星通信、AI向けデータセンター、対話型AIのグロック、衛星ネットワークを一体運営する企業になっています」(森さん)
現在のスペースXの収益の主役となっているのが、衛星通信サービス「スターリンク」だ。低軌道に多数の衛星を打ち上げ、世界中に高速インターネット通信を提供している。利用者はすでに約1000万人、2025年の売上高は100億ドル(約1.6兆円)を超えたとみられる。今後は利用者数のさらなる拡大が、大きな成長ドライバーになりそうだ。米国株投資に詳しい、むさし証券の杉山武史さんも、スターリンクの日本市場での広がりに注目する。
「日本ではKDDIがいち早くサービスを開始し、続いてソフトバンク、NTTドコモもスターリンクを活用したサービスの提供を始めています。つまり、日本の主要通信3社がすべてスターリンクのインフラに乗ることになるわけです。利用者の裾野が広がっており、世界的な利用者数は2000万人、3000万人へと増えていくとみています」(杉山さん)







