そう考えると、「挑戦しているのだから、赤字は当然」といいたくなるかもしれません。しかし、どこまで赤字を許容するか、その塩梅は難しいところです。
いずれ黒字になると信じて赤字を掘り続けたものの、一向に黒字になる気配が見えてこないということは十分にあり得ます。その結果、資金がショートし、ビジネスが継続できなくなれば、お客様や出資者の信頼を失います。日本の場合、新たなビジネスでの再チャレンジも難しくなります。
しかし、資金ショートを恐れて、かけるべきところにお金をかけなければ、チャンスを逃すかもしれません。そんな思考の堂々巡りに陥っている方もいるかもしれません。
資金投入先を絞ることで
創業初年度から黒字を達成
創業初期の赤字に関して、どのように判断したらいいのか?アスクルの事例は、ひとつの参考になるでしょう。
アスクルの売上は、1993年の事業開始から、毎年、倍々で推移していきました。赤字をいとわず、宣伝や営業活動に多額の費用を投じて、一気に事業を伸ばしたのだろう、と想像する方もいるかもしれませんが、そうではありません。出費をできるだけ抑えて、初年度から黒字になるように努めました。
カタログの制作のような、売上をつくるための根幹となるところには出費を惜しみませんでしたが、派手な宣伝はほとんどしていません。1998年に売上が100億円を超えましたが、従業員は37人と、売上の割に少ない人数しかいませんでした。
初年度から黒字を目指した理由のひとつは、親会社(編集部注/アスクルは当初、プラスの社内ベンチャーとして始まった)から厳しい目で見られていたことです。
親会社の経営陣は、アスクルのような直販事業をするのが初めてだったので、その成功に疑問を抱いていました。創業時のメンバーが私を含めて4人だけだったのも、投下する経営資源を最小限に抑えたいと考えていたからのようです。ですから、何年も赤字を掘るようなことはとてもできず、初年度から結果を出すことが必要だったのです。







