もっとも、仮に親会社から資金をたくさん与えられていたとしても、私はできるだけ出費を抑えていたと思います。
それは、お客様のニーズがあるという確信が持てなければ、貴重な資金を投下してもムダになると考えていたからです。どんなに資金を投じたところで、お客様のニーズがなければ、商売は成り立ちません。
限られた資金のなかで
お客様のニーズを把握する方法
第一に大切なのは、お客様のニーズがあることを確かめることです。「ここに資金を投入すれば、さらに売上を伸ばせる」というところを見極めて、そこに、黒字を確保できる範囲で資金を投じれば、着実に事業を成長させることができます。
だから、お客様のニーズがあると確信できるまでは、その確認のためだけに資金を使いました。具体的には、カタログづくりに徹底的にこだわりました。
アスクルの事業では、お客様はカタログを見て、商品の購入を決めます。ニーズがあることを確認するためには、カタログにこだわる必要があったのです。
お客様のニーズがあっても、お客様を獲得するのにコストをかけすぎると、事業として成立しません。そこで考え出したのが、エージェント制度でした。
エージェント制度では、文具店さんなどにアスクルのエージェントさんになっていただき、お客様の開拓と与信・回収を担当していただきます。お客様がアスクルに注文すると、注文金額の一定割合がエージェントさんに入る歩合制なので、営業コストを最小限に抑えることができました。
エージェントさんにとっても、注文翌日に事務用品が届く便利なサービスの利用申し込みをお客様からいただくだけで、在庫コストも大きな物流投資もない新たな収入源ができるわけですから、双方にとってwin-winの仕組みです。
エージェントさんのおかげで、かけるコストを最低限にしながら、アスクルに対するお客様のニーズがあることが確信できたのです。
お客様のニーズがあることを確信してからは、成長のために必要な投資を積極的に行うようになりました。







