秀吉は本当に「無断で戦線離脱」したのか

 もう一つ有名なのが、秀吉の戦線離脱です。軍記物では「危険を察知した秀吉が、単独で撤退した」と描かれますが、『信長公記』では、勝家との対立の末に無断で帰陣したと記されています。

 ただし、無断離脱が事実ならば重罪のはずなのに、その後も秀吉が処罰されていない点から、最近では、「信長の命令による撤退だったのではないか」という説も出ています。真相は不明ですが、『信長公記』に書かれているような柴田勝家との喧嘩が原因などという、単純なものではなかったのかもしれません。

羽柴秀吉(右、演:池松壮亮)とねね(左、演:浜辺美波)の間には子どもがいなかったので、前田利家の娘・豪姫を養女として迎え入れる (C)NHK羽柴秀吉(右、演:池松壮亮)とねね(左、演:浜辺美波)の間には子どもがいなかったので、前田利家の娘・豪姫を養女として迎え入れる (C)NHK

信長を二度救った「敵の死」~謙信の急死が変えた天下の行方

 仮に手取川の戦いで、織田軍が一定の打撃を受けたとしても、信長にとって幸運だったのは、その直後に上杉謙信が死亡したことです。手取川の戦いの翌年に上杉謙信は急死し、これにより信長包囲網が崩れてしまったのです。

 かつて武田信玄の死によって、危機を脱した信長は、ここでまたしても、強敵の急死に救われることになったのです。

秀吉は本当に「無断で戦線離脱」したのか→ 織田vs上杉「手取川の戦い」の新説とは?〈大河ドラマ「豊臣兄弟!」第19回〉「豊臣兄弟!」第19回より。羽柴小一郎長秀(演:仲野太賀) (C)NHK

 動画ではこの他、信長が息子の信忠に家督を譲るきっかけとなった岩村城の戦いで、信長の叔母であるおつやの方を磔(はりつけ)にした話をしています。